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ダイバーシティ推進に向けて
 今更という感じもしますが、最近「ダイバーシティ」という言葉を聞く機会
が増えてきました。少子高齢化やグローバル化の波が押し寄せる中で、ダイバ
ーシティに関する理解が高まっている印象を受けます。ダイバーシティとは、
多様性という意味ですが、本来は多様性を受容することを意味しています。

 ダイバーシティの話になると、地方でも大手企業を中心に興味は持っている
ものの、本音の部分では、組織的に進めるのはまだまだハードルが高いと言う
声も聞こえてきます。その一方で、これからの経営環境や労働市場を考えると
取り組まなければならないと言う両者の意見が交錯してる感じです。

 ダイバーシティが根付いていく、推進されるためには、やはりトップの意思
決定、全社的な共通認識が必要不可欠です。ただそれがなければ、手が打てな
いと言うのも、後手後手に回ってしまうように思えます。ダイバーシティに限
ったことではありませんが、何かが拡がっていくためには、ある程度素地が必
要になります。そのためには、ダイバーシティ感度が高い人材を育成すること
も一つの方法です。多様性を受容する感度が高い人材、もう少し言い換えれば、
懐が深い人材を育成する取り組みも必要だと言えます。

 懐が深いと言うと、他者の価値観を受容するというイメージですが、懐が深
いと言われる人を見ていると、自分自身の価値観や生き方への受容が高いとい
う印象を受けます。自分との会話の時間を持つ、多様化が進む中での自分の立
ち居地を見つめる、そういう機会を増やすことも必要だと言えます。

 いずれにせよ、ダイバーシティの目指すところは、“違いを活かす”と言う
点です。単なる数合わせではなく、異なるものを組み合わせることで、新たな
価値を創造することにあります。
 難しいということで、手をつけないということではなく、新たな価値創造に
向けて、できるところから少しずつ広げていくアプローチが必要ではないでし
ょうか。


             (2010/10/25 人材開発メールニュース第602号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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