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子育てが楽しめる時代・イクメンへの期待
 「イクメン」という言葉がマスコミ報道で目立つようになってきた。
 ご存じのように、「イクメン」は育児を積極的に率先して行う男性、育児を
楽しんで行う男性を意味する“管制用語”である。産休による出産後、女性が
引き続き育児を行うのが一般的ではあったが、男性が育児休業基本給付金とい
った制度を利用し、育児休暇をとって積極的に育児を行う男性が増えたし、よ
り一層増やそうということが背景にある。その風潮を加速すべく、男性の子育
て参加や育児休業取得の促進等を目的とした「イクメンプロジェクト」を父の
日(6月20日)に先立ち、6月17日に指導させたのも記憶に新しい。

 「イクメンプロジェクト」とは、働く男性が、育児をより積極的にすること
や、育児休業を取得することができるよう、社会の機運を高めることを目的と
したプロジェクトで、web上に情報交換の場が立ち上がっている。2010年6月施
行の改正育児・介護休業法の趣旨を踏まえ、「イクメンとは、子育てを楽しみ、
自分自身も成長する男のこと」をコンセプトに、社会にその意義をアピールす
るのが同プロジェクトの目的という。ワークライフバランス、ワークファミリ
ーバランスの強い要請もあり、企業も個人も積極的に取り組んでいくことが期
待される。

 しかし、その「子育てを楽しむ」という前に、そもそも子供を生めない(生
まない)社会が存在するのも確かだし、生んでも幼児虐待、育児放棄など「生
んだこと」自体を否定するような社会があることが寂しい。また、イクメン推
進の厚生労働省の子育て世代職員は、当然のことながら「イクメン」だらけで
あることは当然だろうから、その数や体験を公表することが促進の追い風にな
ろう。また、もっともらしく必要性を報道する新聞・テレビといった報道機関
の社員もイクメンの手本であふれているだろうしし、その数を公表することで
普通のことと受け取られることだろう。人に要求するなら、まずご自身が手本
を示すことが妥当だ。

 多くの人は「うちは特殊だ、難しい」というが、キャメロン英首相、成沢文
京区長といった本当に特殊な人でも育児休暇を取得しているのは既知の通りで
ある。

 いずれにしても、プロジェクトなどをわざわざ立ち上げなくても育児休業が
気安く取れて(会社も社会も自然にかつ制度的にその応援・支援がてきる)、
子育てが楽しめる時代が早くくることを望むばかりである。 


             (2010/09/20 人材開発メールニュース第597号掲載)


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