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他人と競わせる・自分と競わせる
 先日、新入社員フォロー研修を実施した時の話ですが、新入社員同士でディ
スカッションしていると、お互いにどんなことで悩んでいるか、かなり気にな
っているようでした。同じような悩みを抱える人を見つけると安心したり、違
う人を見つけると不安になったり、一喜一憂している様子がはっきり伝わって
きました。

 様々な企業(組織)の新入社員を見ていると、成長が早い社員とそうでない
社員の二極分化が激しい組織とそうでない組織があります。二極分化が激しい
組織に共通するのは、早い時期から新入社員を相対評価する傾向が強いようで
す。できる人とできない人とすぐにレッテルを貼ってしまう…そんな感じでし
ょうか。

 極端な所では、レッテルを貼るだけでなく、できる人にはどんどん情報が集
中して、できない人には行き届かない、本人たちの成長スピード云々よりも、
環境の問題の方が大きいと感じることもあります。結果的に、二極分化が激し
い組織は、離職率が高くなる傾向があります。新入社員がお互いに切磋琢磨す
ることは大切ですが、そのためには相応しい環境を作ることも必要です。

 一方、成長スピードは様々ですが、全体的に底上げができている組織は、周
りと競わせていると言うよりも、それぞれが自分なりの目標を持って取り組ん
でいることが多い印象を受けます。自分と競っている感じでしょうか。昨日の
自分よりもできるようになる、先週よりも、先月よりも…誰かと競わせるので
はなく、少し前の自分と比較して、成長が確認できるような環境を作っていま
す。

 他人と競わせるのが悪いと言うことではありません。むしろ、両方必要だと
言えます。ライバル関係のように、競う相手がいることで、大きく伸びる人も
います。ただ、そのやり方で行き詰るのであれば、自分なりの目標を持って、
過去の自分と競わせることも必要だと言えます。

 他人と競わせる、自分と競わせる、これも風土・文化だと言えますが、企業・
組織ごとに偏っていることが多いようです。人材開発部門(担当者)において
は、偏りを変えるかどうかは別として、偏りの度合いは、把握しておくことが
必要ではないでしょうか。

 新入社員全員が「超えたいのは、昨日の自分」そういう気持ちで、互いに切
磋琢磨できる環境があるのが理想なのかもしれません。
 皆さんの周りではいかがですか?


             (2010/09/13 人材開発メールニュース第596号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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