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わからないことを書き出す
 いきなりですが、皆さんは仕事でメモを取る場合、「わかったこと」「わか
らなかったこと」どちらを多く書き出していますか?

 新人の育成をお手伝いする場面で、よく話していることですが、できるだけ
「わからないこと」を書き出す、書き残すことを薦めています。わかったこと・
理解したことは、ある意味書くのも簡単なので、結構メモされています。しか
し、自分で課題を見つけて仕事を進めていくようになるためには「わからなか
ったこと」を把握できるかどうかが大事になってきます。上手く書く必要は全
くありませんが、自分の課題として「わかってないこと」を書いてみることは、
大事なことだと言えます。

 日報などを提出する際にも、一般的に「やったこと(やれなかったこと)」
については、記述されています。しかしそれだけでなく、「わからなかったこ
と・迷ったこと」を一つでもいいので、書き出すようにアドバイスしています。
そういう話を新入社員研修でしながら、実際、研修のレポートを提出していた
だくと、「わかったこと、理解できたこと」のオンパレードだったりしますが
(おそらく私の指導力の問題だと思います)…。

 新入社員の方々に「わからないことを書き出せ」と言っても最初は戸惑いま
す。彼(彼女)らは、「わからないことがわからない」からです。単純な作業
であれば別かもしれませんが、仕事を覚え始める時は、誰もが持つ感覚ではな
いでしょうか。
 わからないことがわからない→課題が見えない→わからないから言われた通
りにする、というパターンはよくあることです。悪いことではありませんが、
自ら課題を見つけ、自ら行動できるような自立(自律)した人材になるために
は、時間がかかってしまいます。

 早期育成を望むのであれば、できるだけ早い内に「わからないこと」を書き
出すことを習慣化することは一つの方法です。当然、書き出したことを、周囲
がしっかり受け止め、支援していくことが必要になります。余談ですが、経験
を積んだり、年齢を重ねるほど、「わからないこと」を周囲に伝えることが難
しくなることもあるように思えます。
 「わからないこと」を書き出すことは、課題を見えるようにすることでもあ
ります。「わからないこと」を出しやすい雰囲気、課題を明確にし、周囲が協
力して課題解決を支援できる組織が、人材育成力が高い組織と言えるのではな
いでしょうか。


             (2009/12/14 人材開発メールニュース第560号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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