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すべきこととすべきでないこと
 経営環境が厳しくなると、経営者や幹部の方から社員に対しての不満(=裏
を返せば期待なのですが…)が増えるように感じるのは私だけでしょうか?
 個人的な印象ですが、「もう少し主体的に、自立的に考動してくれれば…」
という不満を聞くことが増えているように感じます。

 主体性や自立という話になると、次に「権限委譲やエンパワーメント(※)
を進めた方がいい」と言う話題が出てくるのがお決まり?ですが、最近は権限
委譲やエンパワーメント進めたいと思っているが、思い通りに行かないという
嘆きも多いようです。
※経営で使われる「エンパワーメント」とは、権限を部下に委譲し、責任を持
たせることで部下をやる気にさせ、組織の活性化につなげようとする試みのこ
とです。

 組織の持つ風土・文化によってエンパワーメントが進みやすい組織とそうで
ない組織があります。進みやすさを把握する際に、私がよく確認するのは、組
織の中で「すべきこと」と「すべきではないこと」どちらが多く話されている
か、伝えられているかという点です。

 「すべきこと」が伝えられている=やるべきことが明確に伝えられているこ
とは、組織運営上大切なことだと言えますが、権限委譲という視点で考えると、
ブレーキになることもあります。当たり前ですが、「すべきこと」が多く伝え
られる組織では、やることが決まってるためメンバーが創造性を発揮する機会
は少なくなります。
 逆に「すべきでないこと」が伝えられる組織は、最低限のルールは決めて、
後は何でもあり?と言うことなので、自ら考え行動する、自ら考え行動しなけ
ればならない状況になることが多いと言えます。

 実際、権限委譲する、権限委譲が定着するには、時間がかかります。長い間
「すべきこと」がはっきりと伝えられてきた環境で育った方に、いきなり「何
をやってもいいよ」と枠を外しても、適応するまでに時間がかかるのは当然で
す。権限委譲・エンパワーメントを進めていくには、覚悟を決めて、粘り強く
取り組むことが必要だと言えます。また、できるだけ早い時期から「すべきで
ないこと」が示されるようなマネジメント環境で育成していくことも必要だと
言えます。

 皆さんの周りでは、「すべきこと」「すべきでないこと」、どちらの会話が
多いですか?


             (2009/11/16 人材開発メールニュース第556号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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