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「敗軍の将、兵を語る」を読んで…
 政権交代の歴史的転換点、衆議院選挙から約1ヶ月、通常、新政権誕生や政権
交代では、そこから約3ヶ月100日はそっとしておいてあげる、ハネムーン期間
でもあり、ここでも論評は差し控えたい。

 ところで、読者の方々も愛読されている方も多いと思うが、毎度のように読
んでいたら奇異に感じたものがあった。それが日経ビジネス09.08.24号、お馴
染み、「敗軍の将、兵を語る」の東国原宮崎県知事の文章である。そもそも告
示後、選挙戦さなか、である。自民党から衆議院選出馬を要請され、要求が通
らず出馬断念になった経緯を書いているが、その文章、本当にこの時期、この
人で適切なのか、である。

 ちなみに、中の一文にこんな文章がある。少々長いが引用する。「本当に自
民党が変わるかもしれないと思いました。私は古賀さんだけでなく、森喜朗・
元首相や町村信孝・前官房長官、菅義偉・選挙対策副委員長ら多くの自民党幹
部と何度も顔を合わせています。皆、改革の必要性を強く感じていらっしゃい
ました」−折しも、上記4人の中で3人は選挙戦の苦戦を報じられており(一人
は選挙区落選、比例復活)、実名をあげて(それも人気者、改革派知事と持ち
上げられている人から)賞賛されれば大きな援護射撃になる(事実、3人は選挙
区当選)ことは明白であり(繰り返し言う、時期の問題だ)、側面からの支援
と勘ぐるのが当然であろう。また、あながち、穿った見方とも言えないだろう。

 同誌については以前も指摘させてもらったが、一昨年の参議院選挙のとき、
九州の地方区出馬の候補者の教育論を取り上げて、これまた強力?な支援をし
ていた(結果は落選)。どうもその恣意的な記事を取り上げる姿勢、時期が気
になる。

 とはいっても、同誌は公平性や中立といったことを求められる報道誌ではな
く、経済発展・経営支援をする業界内のミニコミ誌と思えば納得できないわけ
でみないが(スポンサーの関係も大きいのかも)、日経ビジネスを定期購読し
ている理由の一つがこの「敗軍の将…」でもあり、取り上げるテーマ・人物で
決まるのに、そこに政治的意図が見え隠れするのは何とも残念で仕方がない。


             (2009/10/12 人材開発メールニュース第551号掲載)


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