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AorBそれともAandB
 環境変化が激しくなればなるほど、意志決定の迅速化が求められます。目ま
ぐるしく変わるビジネスチャンスを獲得するためにも、また変化に取り残され
ないようにリスクを回避するためにも意志決定を迅速化したいという話は良く
耳にすることです。

 意志決定を早くする方法の一つとして選択肢を絞る方法があります。4つの
選択肢より3つ、3つより2つの方が選びやすいのは言うまでもありません。
実際、意志決定が速いと言われる人(組織)においては、目的と照らし合わせ
て選択肢を出来る限り絞り込んで、意志決定していることが多いようです。

 ただ最近プレゼンを見たり、受けたりする場面で気になるのは、最初から選
択肢が少な過ぎたり、また少ない選択肢から早急に選択を迫られたり、なんと
なく窮屈な意志決定を要求されている場面が多いような印象も受けます。

 例えば、コスト下げる(A)という選択肢、売上を上げる(B)という選択
肢が用意され、どちらかを選ぶ…(A)or(B)の選択を要求されるわけです
が、そもそも二択ではなくて、理想的な形、例えば(A)and(B)について、
どれだけ検討されたかが見えないケースもあります。

 確かに(A)or(B)という選択をした方が速いと言えますが、(A)and
(B)を追求することを簡単にあきらめて良いのか?という素朴な疑問も残り
ます。限られた時間の中で、(A)and(B)を真剣に考えた(真剣に考えた
プロセスが窺えた)上で、(A)or(B)を選択するのはわかりますが、最初
からorでしか選ばないということは、本来の意志決定の目的から外れているよ
うに思われます。

 勿論、意志決定を迅速に行うことは大切なことです。しかし、単に意志決定
の「速さ」「し易さ」ばかりが追求されると、目的・使命との整合性が失われ
ることもあります。
 特に今後リーダーを目指すような人材を育成する場面においては、単にスピ
ードを上げるテクニックを身につけるだけなく、真因を追究するような時間を
もっと与えることも必要だと思われます。リーダーと呼ばれる方の意志決定が
軽い?と人を動かすことは難しいのではないでしょうか。


             (2009/09/28 人材開発メールニュース第549号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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