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異業種間交流研修について
 少々以前になるが、8月上旬、まったく業種の異なる2社の若手社員が一同に
会して交流する異業種間交流研修的なもののインストラクションを担当する機
会に恵まれた。
 さほど長くもない講師生活だが、初めて経験する仕事であり(これまで合併
した異業種間企業の若対象のクロスカルチャー研修は担当させてもらったこと
はあった)、いささか緊張しながら現地に向かった。

 この交流研修は、両社が全社的に取り組んでいるというものではなく、同じ
エリアで事業所を構えていることから、地域内交流も兼ねてのもので、20代前
半から30代前半くらいまで、営業もいればSEもいて、業種の違いだけでなく職
種も違うメンバーが参加してきて、その点でも異種交流になっていたのも良か
ったと思う。

 研修そのものは、異業種間で話がかみ合うのか、技術者が多く話し下手でオ
ープンに会話が進むのかと心配した割には、同年代の気安さか、意外に話がは
ずんで、和気あいあい、終始、場は活性化されていてインストラクションは、
とても楽をさせてもらった。

 ところで、景気が厳しく競争も激しい昨今、教育の現場にいても何か、企業
も受講生(教える私−講師)も余裕がない。本来の遊びではないが遊びがない
というか、世知辛さが感じられてならない。人材育成のスタンスも中長期の視
点が欠落し、目先、短期の時間軸で性急な成果を求めることになりがちである。
厳しい経営環境の中、限られた予算、必要最小限の投資でリターンの最大化に
つなげなければならない以上、しょうがないといえばそれまでだが…。

 そう考えると今回の異業種間交流研修は扱った題材(両社の技術・顧客を活
用した商品開発)はやや直截的なものではあるが、人材育成としては成果を測
ることは難しく、明らかに長期的スパンで人や成果を見ていかないといけない
ものであり、そうした観点で取り組んでいこうとしている両社の姿勢はすばら
しいと思う。もちろん、両社ともこうしたことばかりしているとはとても思え
ないが。

 今、雇用を取り巻く環境、雇用に関する企業の姿勢が厳しさを増している。
そして、バブル崩壊の後以上に、採用や教育も見直しが進んでいるともいえる。
改めて“人材力”を問われているともいえる。


             (2009/09/21 人材開発メールニュース第548号掲載)


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