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“無い”より“在る”を!
 経営を取り巻く環境が悪くなると、バブルが崩壊した時もそうでしたが、仕
事の場面で「〜がない」と言葉を聴く機会が増えます。「時間がない」「暇が
ない」「材料がない」「人がいない」…当たり前ですが、言葉を並べていくだ
けでも少し気持ちが暗くなってしまいます。「無い」と言う事実?は、前向き
に捕らえればチャンスでもあります。「無い」から「在る」に変化させること
が、価値(value)だと言えます。

 しかし、実際の仕事の場面では、言われるほど「無い」という状態は、少な
いようにも感じます。物理的に無いというよりも、「行動してない」「活用し
てない」と言うことの方が多いのではないでしょうか。

 マネジメント場面においても、「〜がない」という会話が繰り拡げられるこ
とがあります。何かの仕事が完了しなかった理由として「〜がない」という言
葉が出てくることは良くあることです。「無い」ことを詰問することもありま
すが、その前に今何が“在る”かを確かめることも必要です。「無い」部分に
焦点をあてるよりも、「在る」部分に焦点を当てて、「在る」もの(こと)を
有効に活用して「無い」を「在る」に変えていくことに力を入れることが必要
です。

 例えば、育成の場面でも「やり方がわからない」という課題はよく出てきま
す。最初から「わからないから、どうしよう…」と考えるよりも、今どこまで
(どの程度)わかっているかを明らかにした方が、より具体的な解決策が見出
せます。日常の会話でも「〜がない」と言われた時に、「何があるの?」と聞
き返すと会話の方向が変化することもあります。

 無いものねだりは、誰でもありますが、もっと保有しているものを有効に使
いながら「無い」を「在る」に変えて行こうとする〜そういう職場が、こうい
う環境でも元気のある職場と言えるのではないでしょうか。


             (2009/06/15 人材開発メールニュース第535号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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