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キャリア教育のセーフティネット?
 雇用不安が叫ばれる中、必然的にキャリアに関する注目が高まっています。
キャリアという難解な?言葉も、ごく当たり前に日常的に使用されています。
個人的な話で恐縮ですが、私は、3人の子供(小学生・中学生・高校生)の父
親でもあります。最近は、社会人だけでなく、より若い世代、学校教育におい
てもキャリアに関する教育が行われているようです。やり方は、様々なようで
すが、基本的には将来の夢、ビジョン、キャリアについて考え、そしてどうす
れば実現できるかを考える方法が一般的なようです。

 企業内教育の現場でもよく言われることですが、自律的、主体性を持った人
材を育てるためには、早い時期から自分自身の「キャリア」について興味を持
つことは良いことだと思われます。

 ただ、キャリアに関する教育で、「職業」=ゴールと言うアプローチが多い
のは気になります。わかりやすく言えば、将来の目標として「将来なりたい職
業」を考えるわけですが、キャリア=職業ではないので、そこは少し留意する
必要があるように思われます。
 将来なりたい職業を考えることは、具体的でイメージしやすく、それを考え
ることは悪いことではありません。ただ「なりたい職業」になれなかった時に
どう対処するか?と言う視点が欠けているような印象を受けます。望む職業に
就けなった時のセーフティネット?が欠けているような感じです。

 若い世代に限ったことではありませんが、目指すものを失ったときにどう対
処するか、そのヒントを与えておくことは大事なことです。職業と言う視点に
おいては、おそらく、なりたいと選んだ職業には理由があるはずです。例えば
「教師・先生」になりたいと思った人は、人のお世話をしたり、子供が好きな
ので、「教師・先生」になりたいと考えたかもしれません。人のお世話をする
ということであれば、「教師・先生」以外の職業もあります、子供が好きだと
言うのも同様です。大事なのは、職業という事象ではなく、その職業を通じて
実現したいことを整理しておくことです。そもそも最初に目指したもの(夢・
憧れ)は、職業そのものでなく、“職業を通じて活躍する自分”のイメージで
はないでしょうか。

 話は変わりますが、現下の経済・経営環境で、離職を余儀なくされる方が、
増えています。仕事を探すことに行き詰った時には、その仕事を探している理
由を少し掘り下げてみると、また違った探し方やアイデアが浮かぶかもしれま
せん。就職・転職といったタイミングだけではなく、定期的・周期的にキャリ
アについて考える機会を、様々な機関が協力して生み出していくことが、今後
益々必要になると思われます。


             (2009/03/30 人材開発メールニュース第525号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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