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2008年秋…出張の現場から
 9月上旬、長野県上諏訪を仕事で訪れた。長野県での仕事は本当に久方ぶり
で、新潟、富山、石川、福井、あるいは山梨と北陸地方での仕事はあっても、
長野での仕事は15年近くエアーポケットのように空いてしまった。

 これでも昔は(もう15年以上経つが…)、諏訪湖のほとりのホテルで3泊4日
の仕事を2週続けて担当したこともあり、また、長野市の企業には月1回1年半
コンサルテーションで通い続ける仕事もあって、多少の馴染みがあった地域な
のだが、これだけ足が遠くなってしまう(プライベートで来たことはない)と
長野のことは、かつてオリンピックがあったことと、元知事の田中康夫さんし
か思い出せず、八王子から1時間30分の近さだというのに、駅に降り立った時
は何をどうしていいのか、途方に暮れた。といっても、仕事だから指定された
会場(ホテル)に駅前からタクシーに乗るだけで迷うことでもないのだが…。

 仕事のことはさておき、仕事が終わればそこは旅先、早速、一杯飲みに出る
ことになるのだが、翌日もゆるめの日程ということもあり日本酒をいただくこ
とに。銘柄がよくわからないからと店の人に適当にお願いして地酒を出しても
らったのだが、これが実に「うまい(旨い)(美味い)!!」

 実はここで私はひどく戸惑った。私の頭の中(というより舌先、味覚)には、
日本酒といえば新潟県という固定観念がある。それは新潟に仕事にいく機会が
多くあり、地元の人の蘊蓄を聞きながら酒蔵に連れて行ってもらったり、酒造
メーカーの営業マンと仲良くなって新酒を贈って頂いたりと、とにかく口にす
る機会が多かったことが主因である。新潟の次は…というと、青森・南部地方、
福島・岩手の某銘柄くらいしか思い浮かばず、スマンスマンとなってしまう。

 ところがである。たまたまお店の人のチョイスが的確なのか、5種類ほど出
してもらった日本酒はどれも美味、真澄、麗人といったメジャーなブランドは
もちろん、地元の人中心であまり出回っていない“太一”という酒がなかなか
の切れ者、鋭く胃袋に刺さって心地よい。考えてみれば、諏訪地方だけでなく、
木曽の酒もおいしかったと昔の記憶がどんどんと酒の勢いもあるのか呼び戻さ
れていく。

 新潟の酒が日本一…そう思っていた自分の自信や思いこみがどんどんと崩れ、
やっぱり「飲んでみないと語れない、語ってはいけない」という想いが募る。
 うっ、まずい。仕事もないのにスーパーあずさに飛び乗って上諏訪に行きた
くなる。猛暑にすっかり頭の中をダメにされたみたいです。つまらない話で恐
縮です。


             (2008/09/22 人材開発メールニュース第499号掲載)


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