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必要な人材…伝わってますか?
 先日、就職活動をスタートしようとしている大学生と会話する機会がありま
した。彼らは、来年の就職環境は厳しくなると感じ危機感を持っているようで、
次から次へと質問が飛んできました。その会話の中で一番印象的だったのは、
「そもそも企業は何を求めているのですか?」という質問です。非常にシンプ
ルで真意な質問だと言えます。

 逆に言えば、企業側が「何を求めているか」について、十分に開示できてい
ないことを示しているように思われます。最近では、就職サイトや採用HPを
見れば、「求める人材像」などが記載されていることが一般的です。ただし、
見る側(読む側)=学生側からすれば、どこの企業も同じようなことが記載さ
れている感じで、どこがどう違うのかわからないと感じているようです。例え
ば、良く使われる表現として「意欲の高い人、前向きな人」というフレーズが
あります。しかし、実際は何を持って“意欲が高い”“前向き”と評価するの
かは、企業によって異なると言えます。

 企業側の視点で考えると、自社で本当に欲しい人材を確保するためには、抽
象的な表現ではなく、自社(自分)の言葉でできるだけ具体的に表現すること
が必要です。これは、採用の場面に限らず、人材の育成・活用の場面において
も同様です。経営・事業に必要な人材は、時間の経過・環境の変化と共に目ま
ぐるしく変化します。いずれにしても、経営・事業を推進していくために必要
な人材を確保する第一歩は、「今」「これから」どんな人材が必要かを発信す
ることだと言えます。特に人事部門においては、社内外に対して必要な人材に
ついて発信・周知することが求められています。

 一般的に人材開発力が高いと言われる企業・組織においては、当然のように
自社に必要な人材=人材像・期待する人材イメージについて、毎年見直しが進
められ、経営方針・人事方針として発信されています。逆に中堅・中小企業に
おいては、これらの取り組みが少ないところが多いのが実情です。
 どんな採用をするか、どんな育成をするかを検討することも勿論大事ではあ
りますが、人材開発投資が難しい企業ほど、人材像・期待する人材イメージに
ついて、定期的に見直しを図り、社内外に発信・周知することに注力すること
が必要ではないでしょうか。


             (2008/09/15 人材開発メールニュース第498号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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