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雑感〜北京オリンピック
 北京オリンピックが終わった。開幕前の地震や聖火リレー騒動もあってどう
なることかと思っていたが、13億人の威信を賭けた大イベントは終わった。

 今年のオリンピックは、時差がないことや仕事が比較的緩やかだったことも
あってテレビ観戦ばかりだが、数多くの種目を堪能させてもらった。しかし、
毎々のことだが、日本の実況はうるさい。日本選手のプレーに集中できない。
選手以上に興奮している感情むき出しの絶叫を聞かされるだけでイライラして
くる。結果、なるべく音声を消して見るようにした。それにしても各局が北京
に送り出したキャスター、レポーター、アナウンサーの騒々しさは噴飯もので
ある。某局の看板キャスターは柔道の有力選手の試合前は「金は絶対」と叫ん
でいながら、銅で終わった途端、「金は難しいと思っていたんですよ」とした
り顔で話す。興ざめだ。

 新聞の絶叫度も同じで、某全国紙のスポーツ欄では、北島選手の2冠を称し
て「北島 北京君臨」の大見出しが踊った。2冠のすごさ、それも2大会連続
となれば、最大級の賛辞で対応することはうなずけるが、どの種目でも1位は
その時点の世界No.1“君臨”しているものだし、メダルの数で言うなら世界記
録を7つ出したうえにオリンピック史上初の「1大会8冠」の偉業をなしえた
競泳のマイケル・フェルプス選手、インパクトの点で言えば、驚異的な記録で
陸上100・200メートルを制覇したジャマイカのボルト選手が“君臨”という言
葉にふさわしいと思う。100メートルの際には、最後の10メートルくらいは力
を抜いて流しても世界記録なのであり、“君臨”に値すると思うのだが、比較
しての客観性ではなく、記者や新聞社の主観性で評価されてしまうらしい。ち
なみに、そのボルト選手が100メートルで勝ったとき、NHKアナウンサーが「人
類最速の欽ちゃん走り!」と絶叫したのも驚いた。欽ちゃんを云々言う前に、
私にはボルト選手の世界最速パワーの価値を下げた賛辞に聞こえた。

 そういえば、日本のマスコミは4文字カタカナ選手表現がお好きで、オグシ
オ、コンカマ、スエマエ、タネメグ、イケクミ…活字や言葉が溢れる。欽ちゃ
ん走りではないが、テレビのバラエティの乗りでスポーツ報道がなされている
気がしてならない。フェンシング王子など、○○王子表現、○○ジャパン表現
…パターン化された表現は相変わらずだ。

 それにしても星野−、反町−、柳本−と指導者の名前が付いているチームは
どうしてあんなに弱いのだろうか。指導者が立派すぎて選手の存在感がないの
だろうか。

 メダルを取れた人、取れなかった人。メダルは別として大健闘した人、期待
以下に終わった人、「金メダル以外、いらない」と言って本当に金メダル以外
も取ってこなかった人、ママでも銅の人、ママで4位に入って快挙の人…オリ
ンピック以降の動向もマスコミには大きく取り上げられるだろうが、しばらく
は静かになるかな。


             (2008/09/08 人材開発メールニュース第497号掲載)


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