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気づいていない良い所
 今年は、にわか雨や雷雨が多いような気がします。先日も激しい雷雨で、信
号機が壊れている場面に遭遇しました。信号が壊れていると、車の走行に問題
があるように思えるのですが、実際運転していると、自然と譲り合ったり、お
互いに注意するような感じで、特に問題なく(むしろ日頃よりマナー良く)走
行できていました。
 当たり前のことですが、暗黙の了解で譲り合ったり、スムーズに走行できる、
風土・秩序について単純にスゴイと感じました。

 確かに、運転マナーなど悪い所に目をつければ、キリがありません。「最近
ますますひどくなった」「こんなことも守られていない」等、人それぞれ価値
観は異なりますが、悪い所を挙げると次から次へと出てきます。しかし、実際
には、前述の信号機が壊れている場面ではありませんが、良い所も残されてい
るように思われます。

 ビジネスの場面でも同様のことが言えます。日頃の職場においても悪い所、
できていない所は、すぐに挙げることができます。しかし、当たり前であるた
めに気づかない良い所もたくさんあるように思われます。悪い所を改善する視
点も大事ですが、良いところを伸ばす、守るという視点も大事なことは言うま
でもありません。

 企業(職場)で研修を行う際にも、同様のことが言えます。実習で「職場の
良い点・悪い点を分析する」という課題を与えると、元気・活発だと思える組
織とそうでない組織では、良い点を出す数が圧倒的に違います。元気・活発な
組織では、良い点が数多く出されますし、そうでない組織では、やはり良い点
として挙げられる数が少ない傾向が見受けられます。
 ただ、もう少し細かく見てみると、良い点が少ないのではなくて、気づいて
いない、長所と感じていない組織が多いのも事実です。気づいていないため、
大事にしていないと言う悪循環になっていることもあります。

 別に良い点を挙げて自慢しろと言っているわけではありませんが、これまで
存続していた組織・企業は、当然ですが存続する理由があると言えます。その
理由を再度認識・共有することで、生み出される新しい価値もあるはずです。
悪い所を挙げて対策を打つことも勿論大事ですが、良い所を再度確認して、今
後のビジネスにつなげていくことも必要ではないでしょうか。


             (2008/08/11 人材開発メールニュース第494号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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