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ミドルが力を発揮するには…
 最近、ある経営者の方と話している際に、もう少し中間管理職(ミドル)が
力を発揮してくれたら…という話題を(延々と?)聞かされることがありまし
た。この経営者の方に限ったことではありませんが、ミドルにリーダーシップ
を発揮して欲しい、経営者的な視点で主体性を発揮して欲しいという類の話は、
色々なところで出てくる話題であります。

 会社の規模を問わず、中間管理者(ミドル)は、トップと現場をつなぐ大事
な役割を担っています。もう少し構造的な見方をすると、ミドルの難しさは、
現場に対しては現場で束ねるリーダー(=上司)でありながら、トップに対し
ては部下であるということになります。当たり前の話ですが、場面ごとに「上
司」と「部下」両方の役割を求められていると言えます。

 冒頭のミドルにもっと力を発揮して欲しいという話に戻すと、ミドルにリー
ダーシップを発揮して欲しいという話題が出る場合、ミドルと呼ばれる方々の
取組み方に問題がある場合もありますが、むしろ多いのはトップのミドルに対
する期待が相反していることが挙げられます。

 ミドルがリーダーシップを発揮するためには、「上司」としての役割を演じ
る時間や環境が必要になります。しかし、ミドルに力が不足しているという話
が出やすい企業ほど、トップがミドルに対して「部下」の役割を要求している
ことが多いのも事実です。特に中堅・中小企業においては、このようなケース
が多いと言えます。

 トップがミドルに自分の「部下」としての顔を期待すればするほど、ミドル
の方が「上司」の顔をする時間が短くなってしまいます。当然、ミドルが「部
下」の顔をしている時間が長ければ長いほど、リーダーシップや主体性を発揮
することが難しくなってしまいます。

 ミドルの活性化を行うためには、ミドルそのものをどうするかという視点も
必要ですが、トップのミドルに対する期待を見直す方が効果的なケースもあり
ます。その具体的な例が、権限委譲やエンパワーメントと言われるものです。
トップに限ったことではありませんが、権限委譲やエンパワーメントを進めて
いくことは、勇気(本気)が必要な決断です。しかし、ミドルの活性化を進め
ていくためには、ミドルが「上司」の顔ができる時間や場面をたくさん作るこ
とが必要ではないでしょうか。


             (2008/06/16 人材開発メールニュース第486号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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