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サーバント・リーダーシップ
 皆さんは「サーバント・リーダーシップ」という言葉をご存じだろうか。
リーダーシップの一つの形として、数年に渡って私が注目している考え方だ。
サーバント・リーダーシップは元ΑT&Αのロバート・K・グリーンリーフが
提唱したもので、私はある人から聞いて研究というほど大げさではないが、こ
の考え方に基づく書物を読みあさっている(読みあさるほど本は出ていない)。

 最初にサーバント・リーダーシップの内容に接したのは、米国のコンサルタ
ント、ジェームズ・ハンター著「サーバント・リーダーシップ」(PHP研究
所)で、命令型マネジメントから奉仕型リーダーシップとして、部下の生きが
いとやる気を引き出すリーダー像に感動した。小説仕立てでわかりやすく説明
してくれる本でもある。

 そして、最近、2冊の本に出会う。研究者である金井壽宏神戸大学大学院教
授とサーバント・リーダーシップを経営の場で実践された池田守男資生堂相談
役の共著「サーバント・リーダーシップ入門」(かんき出版)が一つである。
ここでは引っ張るリーダーから支えるリーダーとして、資生堂の経営改革を主
導した方のリアルな説明を通じて、サーバント・リーダーシップのありようが
理解できる。それを金井教授が一般化して解説している本である。そしてもう
一冊は、ご存じケン・ブランチャードとマーク・ミラーの共著「ザ・リーダー
シップ」(ダイヤモンド社)で、ここでも物語を通じてサーバント・リーダー
シップを取りあげている。金井教授も述べているがサーバントというと奉仕と
か尽くすとか解釈して、率先垂範、グイグイと主導牽引するリーダーシップの
概念から見れば奇異に感じる。しかし、ブランチャードはSERVEという5
つの文字を、リーダーシップに関する言葉の頭文字に該当させてわかりやすく
解説してくれている。

 例えば、Sは「SEE THE FUTURE(未来を見通す)」、
 Εは「ENGAGE AND DEVELOP OTHERS(巻き込み、育てる)」であり、
まさにリーダーシップの要素である。他の言葉はここで書いてしまうと本の売
れ行きに多少なりとも影響を与えてしまうので省く。ケン・ブランチャードは
「人のためになる。人の力になる。それが本当のリーダーの仕事」と記してい
る。

 リーダーシップ理論は数多く存在する。実践の場面でいえば、理論の枠組み
に当てはまらないようなリアルで個別的なりーダーシップも経営者やリーダー
の数だけ存在するだろう。サーバント・リーダーシップも含めて、より一層、
学んでいきたいと考えている。


             (2008/04/14 人材開発メールニュース第478号掲載)


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