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就職指導の現場から−2008年春
 また、新しい年度を迎える。4月はニューフェースを迎える季節でもある。
来年4月に社会人となる大学3年生、短大1年生への例年吉例の模擬面接指導
が3月上旬に終了した。12月から始まる体力勝負の仕事も一段落である。

 例年、延べ800人近くの学生と模擬面接で対峙するが、やはりというか、
昨今の就職状況、そう就職温暖化を反映してか、今年は3割程度の減少、延べ
600人くらいになってしまった。その分、体力的には楽をさせてもらったが、
反対に苦労したのは学生の方かもしれない。

 案の定といっては何だが、3月下旬から学生から来るメールは明暗が分かれ
た。文系にもかかわらず、早々と「内定が出ました!」と連絡してくる学生も
いれば、「落ちまくりです」と悲鳴をあげてくる学生も頻出した。内定獲得組
は模擬面接でも一生懸命取り組み、何度も指導した学生が大半、残念無念組は
模擬面接参加者であれば自己分析も業界・職種研究も中途半端、明らかに就活
をなめている態度の学生がほとんど、また、大丈夫とばかりに模擬面接回避を
早々と決めた学生は、軒並み沈没してしまった。まだまだ就活前半期で時間的
に安心ができるとはいえ、昨今の学生は挫折(本来は1社2社落ちたくらいは
挫折とは呼ばないレベルだが)に弱い。もうダメだ、あきらめたと、悲嘆に暮
れる者も出現する。

 学校の授業では、「嘗めてかかるな」「企業の採用選考は甘くない」と口酸
っぱく言ったつもりだが、マスコミ報道の影響からか、鼻から甘く見ている学
生が多かったので危惧した通りになったし、企業側の見識の高さに脱帽するし
かない。

 こちらとしては、もう模擬面接でフォローしてあげることもできず、メール
で自己PRや志望動機を添削してあげるくらいしかできることはないのだが、
送られてくる書き物を見ると落ちて当然と唖然とする。何から何まで言ったと
おりにすることも要求しないが、見事に教えたことが反映されていないものを
見ると涙がこぼれてくる。トホホ・・・

 そんなこんなで4月を迎える訳だが、この第一週、二週が今年の内定出しの
第一派になることは間違いないだろう。その波に乗りなくても今や就職は「全
入の時代」、どこかには入れると思う。しかし、少々の挫折感と焦燥感に包ま
れた彼ら彼女らには、鮮やかなサクラの開花はどのように目に映るのであろう
か。

 来年のことを言ったら本当な鬼が笑うかもしれないが、それでも90%超の
学生に内定が出て来年4月には入社を迎える。


             (2008/03/31 人材開発メールニュース第476号掲載)


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