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転職コンサルタント研修の現場から
 2月に縁あって人材紹介会社の転職コンサルタント、営業の方々を対象とし
た研修を担当させていただいた。総合的なサービスを実施するというよりは、
ニッチなマーケットを対象とした業界特化型の会社でありIT系の仕事の拡大
にうまく乗って成長している企業であった。

 サラリーマン時代、紹介事業を部門として持っていた企業にいたこともあり、
何となくこんな仕事というイメージはあったが、やはりリアルな現実は面白く
もあり、奥行きの深さを実感した。

 研修内容は、主に紹介コンサルタントの方々のスキルのブラッシュアップで
私が持つキャリアカウンセラーの知識やスキルを基にした講義や演習、ロール
プレイングで取り立てて特殊なことをやったわけではないが、総じてコンサル
タントの年齢が若く、経験年数も少ないこともあり意欲的に取り組んでいただ
いた。

 ロールプレイングをしみじみと眺めていると、時間的な制約もあってやむを
得ないところであるが、少々ビジネスライク、キャリアや経歴を聞く際もほと
んどインタビューの域を出ていないことが気になった。

 この業界そのものには門外漢の私が言うので説得力はないが、人材紹介業な
どに求職にくる人たちは、もちろんその紹介会社が持つ実務的能力、求人企業
情報や業界知識、職務経歴書・履歴書作成、面接対策指導などのハード面への
期待は高いだろう。一方で、内面的な部分、転職そのものへの不安、キャリア
の転機に当たっての心の揺れ、経済面や家族など背景環境の問題…その心情面
の不安、悩みも多く抱えているといえる。また、自らのこれまでのキャリアの
市場価値、本当にどれだけの評価が受けられるのか、その不安。その点を置き
去りにしては、前に進めないのではないだろうか。

 カウンセリングではないので、その点を重点において面接・面談をする必要
もないが、やはり相手が発する言葉の背景に潜む心理的な悩み、葛藤にも配慮
しながら、求められる実務的ニーズに応えていく…難しいことではあるが、そ
の点を忘れてはいけない気がする。

 約20人の若い転職コンサルタントではあったが、実務側面と心情的側面の
二つのニーズに応えられるプロに育って欲しいと思う。


             (2008/03/17 人材開発メールニュース第474号掲載)


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