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採用で何を見ますか?
 各地で新卒採用の説明会などが行われています。忙しい担当者の方も多いの
ではないでしょうか。私もいくつか新卒採用のお手伝いをさせていただいてお
りますが、たまに採用担当者の方から「学生のどこを見ればいいんですか?」
と質問を受けることがあります。
 皆さんは採用で何を見ていますか?

 一般的には採用選考時に重視する項目として、「コミュニケーション能力」
「協調性」「主体性」「チャレンジ精神」などが挙げられます。企業(組織)
によって選考基準は異なりますので、何を見るのかはそれぞれの企業(組織)
が何を見たいかによって異なります。ありふれた結論ですが、採用したい人材
像・人材イメージを明確にして、それに照らし合わせて選考を進めていくのが
一般的な方法だと言えます。

 しかし「学生のどこを見ればいいのですか?」と質問される場合は、もう少
し基本的なことを聞かれているようなことが多いと言えます。採用基準と照ら
し合わせるために、どこに視点を持てばいいのか…そういうイメージではない
でしょうか?

 採用の際にどこを見るのか?については、様々な方法が存在します。何が良
いのか一概には言えませんが、私の場合は、「軸」というキーワードを良く使
います。「軸」とは、本人がやりたいことを意味しています。面談では、「軸
の有無」「軸の太さ」「軸が根付いているか」という3つの視点を確認するよ
うな形で話を聴くように努めています。

 「軸の有無」とは、やりたいことがあるのか、ないのか?いくつあるのか?
という視点です。希望する仕事のイメージがあるのか、ないのか?複数ある場
合は、どういう優先順位で考えているのか(いないのか?)などを確認します。
 「軸の太さ」では、前述の優先順位と重なる部分もありますが、どれぐらい
意志やこだわりが強いか(強くないのか?)を確認します。
 「軸が根付いているか」とは、本人がやりたいことを聴いて共感できるかと
いう視点です。例えば、○○という仕事を目標としているので、まずはこれか
ら始めたいなど、高い目標、抽象的な目標であればあるほど、その道筋のイメ
ージを持っているかどうかを聴きます。そして、その話を聴いて、実現可能性
を含め、共感できるかできないかを確認します。

 「軸」をテーマに話を聴くと、本人の考えについて理解が進むとともに、前
述の採用選考時に重視する項目(コミュニケーション、協調性、主体性、チャ
レンジ精神など)も会話のやりとりの中である程度把握することができます。

 いずれにしても大事なのは、各企業(組織)が何を重視しているか、何を重
視したいかということになります。絶対的な良さや悪さがあるということでは
なく、個々人の考えや意志が自社にあってるかどうかという視点で判断する必
要があります。「軸」が、そもそも自社と合っているのかどうか、太い方が良
いのかどうか?自社の環境で考えた際に根付いている(共感できる)のか?そ
ういう視点で見ると、ある程度採用したいかどうかも見えてくるのではないで
しょうか。

 ただし、これは逆のことも言えます。学生も企業の話を注目して聴いていま
す。興味を持った企業の「軸の有無は?」「軸が太いのか?」「軸が根付いて
いるのか?」…恐らく真剣に考えている学生であればあるほど、自分と合う企
業がどうかを見ていると言えます。皆さんに周りではいかがですか?


             (2008/02/11 人材開発メールニュース第469号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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