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前提は、成功?失敗?
 成功の反対は失敗ですが、「成功しないこと=失敗」「失敗しないこと=成
功」ではないと言えます。唐突ですが、読者に皆さんはどんな印象を持たれま
すか?

 最近、採用や人材育成の場面で、改めて様々な価値観が存在することを思い
知らされることがあります。冒頭の成功・失敗についても、「成功する(した
い)ことに重点を置く価値観」と「失敗しないことに重点を置く価値観」が存
在します。当然、ほとんどの人(組織)は、失敗しないで成功したいと考えて
いると思いますが、どちらを優先しているかは、それぞれ特徴があります。

 成功することを優先する価値観は、多少の失敗に関しては寛容です。反対に、
失敗しないことを優先する価値観は、ミスが無ければ、最終的に成功するスピ
ードが遅くなってもほとんど気にしません。一概に、どちらが良いとは言えま
せんが、組織として仕事を進める上で、異なる価値観が存在すると、ギャップ
や対立が発生する原因にもなります。

 成功・失敗に関する価値観については、組織や個人単位でも特徴があります
が、もう少し細かく見ると、同一人物(組織)でも、場面(状況)によって優
先する価値が異なることもあります。例えば、同じ人(組織)でも、新しい仕
事(業務)と既存の仕事(業務)で考えると、新しい仕事は成功したい、既存
の仕事は失敗したくないと優先する価値観が異なるケースもあります(勿論、
その逆もありますが…)。

 いずれにしても、相手がどちらの価値観を優先しているかを把握すると、マ
ネジメントやコミュニケーションを円滑に進めるヒントが掴めます。また前述
の通り、優先する価値観は、人や組織単位でずっと変わらない固有の価値観も
あれば、場面ごとに変わる価値観も存在します。場面ごとに相手が優先する価
値観を把握できれば、よりマネジメントやコミュニケーションを円滑に進める
ことができると考えられます。
 成功を優先したいと考えている場合、ミスを一つ一つ取り上げても、相手は
聞く耳を持っていません。逆に、失敗したくないと考えている場合に、チャレ
ンジしろと言っても効果が無いのも同様です。

 上司−部下の関係に代表されるように、成功−失敗で優先する価値観が異な
ると障害が発生するのも事実です。しかし、逆にお互いに補完することで、よ
り大きな成果につながることもあります。成功−失敗に限ったことではありま
せんが、それぞれの強み・弱みを相互に認識していることが何より重要だと言
えます。
 成功−失敗どちらを優先しているかは、比較的把握しやすい価値観です。
 試しに、周りはどちらを優先しているか確認してみてはいかがでしょうか?


             (2008/01/28 人材開発メールニュース第467号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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