Back Number

論理の前に倫理を
 先日、ある経営者の方から「うちの管理者は部下を説得することが下手だ。
そもそも論理的に考えたり、話すことが苦手な人が多いような気がする…、論
理的な考え方や話し方をトレーニングしたいんだが…」といった話を伺う機会
がありました。
 教育課題(テーマ)として、論理的な話し方や考え方に注目が集まることが
増えています。一般的には、論理的思考、ロジカルシンキングと言われるもの
ですが、物事を体系的に系統立てて整理して考え、相手にわかりやすく整理し
て伝える思考方法・能力のことです。ビジネス関連の書籍でも、ロジカルシン
キングに関する内容は、年々増えているように思われます。

 確かに論理的思考(ロジカルシンキング)はビジネスを進めていく上で大事
なツール・思考方法です。しかし、リーダー(マネージャー)と呼ばれる方々
が、部下を説得する、人を動かすと言う視点で考えた場合、論理的であるとい
う前に倫理的である必要があるように思われます。論理的であることを決して
否定するわけではありませんが、倫理+論理と言う考え方が必要です。

 ここで言っている「倫理」とは、例えば、周りにとってマイナスの情報であ
っても真実を隠すことなく正直に伝えることであったり、メンバーに対して一
律平等でなく、一人ひとりの状況に応じて公平に接するようなことを意味して
います。

 言行一致という言葉ではありませんが、やはり言ってることとやってること
が違うと、説得力に欠けることは言うまでもありません。組織においても、論
理的なリーダー(マネージャー)の下よりも倫理的なリーダー(マネージャー)
の下の方が、メンバーは活き活きと行動するのではないでしょうか。

 昨今コンプライアンスの重要性が叫ばれながら、相変わらず企業不祥事が後
を絶たない状況です。コンプライアンスが重要だとわかっていても、遵守でき
ていない背景には、倫理が置き忘れられ、歪んだ論理が先行している証だと言
えます。
 特に組織を動かすリーダー(マネージャー)には、論理的であることも勿論
必要ですが、その前提として、絶えず倫理性を見直したり、追求することが必
要ではないでしょうか。


             (2007/08/27 人材開発メールニュース第446号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page