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職場における要望と不満
 要望と不満という言葉に対してどんなイメージを持たれるでしょうか?
 要望とは、「物事の実現を強く求める」ことであり、不満とは、「もの足り
なく、満足しない」ことですが、前者は前向き、後者は後ろ向きな印象を持つ
ことが多いのではないでしょうか?同じ物事を捉えても、要望として受け止め
るのか、不満として受け止めるかによって、かなり印象が異なるように思われ
ます。

 例えば、職場において、誰かが話している意見について、要望として受け止
めるのか、不満として受け止めるかによって、受け止めた瞬間の表情も違うと
思われますし、受け止めた後の行動も少し違ってくるように思われます。職場
に限ったことではありませんが、コミュニケーションにおいて、どう表現する
か、捉えるか、受け止めるかということは、やはり大事なことです。

 最近、新入社員や若手社員の研修を行う中で、要望を上手く表現できない人
が増えているような気がします(若手に限ったことではありませんが…)。社
員面談などに参加させていただき、要望と不満をヒアリングすると、ある程度
時間をかけ、人間関係(信頼関係)が構築できると、不満の関しては、次から
次に出てきます。一方、要望は?どうしたい?どうして欲しい?と聞くと、言
いたいことはあるようですが、上手く表現できない人が多い印象を受けます。

 不満を吐き出すことは、本人のストレス解消につながります。ストレスが解
消されることで、物事に意欲的に取り組めることもありますので、それはそれ
で非常に意味があることです。ただし、不満を言うだけでは、自分自身のスト
レス解消にはつながりますが、周りを動かすことにはつながりにくいと言えま
す。物事を進める、誰かを動かす(動いてもらう)には、要望をきちんと伝え
ていく必要があります。

 より良いコミュニケーションを実現し、物事を進めていくためには、受信側
は、不満の中にある要望を探し出すことが必要です。逆に発信側は、不満を整
理して要望として伝えることが必要になります。特に若手社員の育成場面にお
いて、要望をアウトプットすること(相手が不満ではなく要望として受け止め
るような)表現方法を教えることも必要だと言えます。ちょっとした話し方、
書き方でも、相手がどう捉えるかを意識することで大きく変わってきます。専
門的なスキルを身につけることも勿論必要ですが、ビジネスの基礎力を向上さ
せるために、何かを表現した際に「相手はどう思う?」と何度も考えさせるト
レーニングにもっと時間を割いても良いのではないでしょうか。


             (2007/08/06 人材開発メールニュース第444号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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