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人手不足とサービスの質
 人手不足はサービスなどの場面で量的な低下をもたらすことは当然だが、量
の確保に走るばかりに採用の質が落ちることにつながる。最近、コンビニで買
い物をしていてもバイトと思われる店員の対応が非常に雑に感じる。私はコン
ビニフリークで、暇さえあれば定点観測と評して、数店のコンビニに定期的に
買い物に行く。バイトが別の人になっていることが多く、以前に比して質の低
下は如実に体感できる。中にはもっとましなバイトを採用できなかったのかと
思う店もあって定点観測の候補から外そうと考えてしまおうか思うほどひどい
バイトもいる。

 先だって、地元の私鉄の駅にチケット購入に出向いた。仕事でその私鉄の特
急電車を利用する必要があったからだ。途中まではその私鉄で行き、相互乗り
入れしているJRを利用して目的地に向かう。
 多くの電鉄会社で行っているように、ネットで事前予約が可能なので私鉄部
分までWeb予約をする(同じ電車に乗ってJR線に入っていくのに、その部
分が予約できないのだ。不便きわまりない)。予約画面をプリントアウトし、
別の日に、駅のチケット売り場に購入しに行く。

 どうすればこれだけ不機嫌な顔で、無愛想に接客できるのかという若い社員
が窓口にいる。名札を見ると「見習い」の文字、新人社員なのだろう。プリン
トアウトした紙を渡す。「本日の特急○○ですね」と聞かれる。唖然。「イヤ、
○日です(3日後なのだ)」と答える。その社員は満足に用紙を見ていないの
だ。これではWebの指示に従ってプリントアウトしてきた意味がない。
 「□□駅からJRで終点まで行きたいので一緒にチケット買えますか?」と
聞くと、「それなら、最初から窓口で買ってください。窓口なら一気に買えま
すよ」と文句を言われてしまった。実は私は同じ路線のチケットを半年ほど前
に同じ手続きで購入した経験があり、その際には窓口の駅員は何も言わずに快
く対応してくれた。さすがにカチンときた私は「ならWebで販売しなけりゃ
いいじゃないか。どこにもそんなこと書いていなかったぞ」と言うと返事一つ
しないで発券画面に目をそらす。お客に説教するわりには自分が文句を言われ
ると無視する。なんでこんな駅員を大事な窓口に置いておくのか、それさえ疑
問に思ってしまう。

 もしこの駅員が新入社員なら、この売り手市場のご時世、採用に苦労しなが
ら確保した人手だと思う。まるで大切なお客さまのように入社してからも扱い、
本当のお客さまは大切な社員から見れば物の数にも入らないのかもしれない。
逆に、この社員から見れば鉄道会社は安定していてまず潰れる心配はないから、
格好の入社先だったのだろう。
 今後、こんな勘違いする新入社員や学生が増殖するのだろうなあ。


             (2007/07/02 人材開発メールニュース第439号掲載)


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