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就職指導の現場から…内定の質の重視
 皆さん、特に採用担当者の皆様、今年の採用状況はいかがでしょうか。
 私はこのコラムでも何度も書いてきたように、学生対象のHPを長年、運営
している。それ以外にも大学・短大で就活の指導をしている関係上、多くの学
生とメール程度だがコンタクトをとる機会が多い。

 周知の事実だと思うが、今年の内定出しは4月1−2週に集中していたよう
だ。4月初旬の日曜日に都心をうろちょろしていたら日曜日だというのにリク
ルート姿の学生がうじゃうじゃ、目立つ。最終面接−内定だしの時期に差し掛
かってきたと実感した。

 私にコンタクトを取ってくる学生を見ていると、早々と第一志望の内定を手
に入れて就職活動を終了宣言したものも多いが、いやまだまだ…とばかりに、
第一志望を手に入れても当初の予定や目標を変更して、さらに高みを目指す学
生もかなりいる。また、残念ながら第一志望は縁がなかったが…と別の業界に
志望を転じる学生も見られる。相変わらずのワープ志望、脈略のない内定先が
気になるが、内定を複数組、いわゆる内定コレクター、内定長者が続出してい
る。そう多くはないメールの大半は、複数内定組の悩ましい相談か、未内定・
出遅れ組のどうしたら…相談に偏っている。

 当HPを主宰してきてこれまでの複数内定の強者は6年ほど前の22社、そ
れを昨年は25社の内定ホルダーが出現してあっさり記録は塗り替えられてし
まった。ところがである、今年は27社の最強の猛者が出現してきた。文系の
学生にもかかわらず3月上旬から4月下旬までの約1ヶ月半の間の獲得内定数
である。その他、2−3社は当たり前、10社前後の内定を持っている学生が
コンタクトをとっている限りで3人いる。

 こんな状況を見ていると、他人事(すみません)ながら、人事・採用担当者
の方々のご苦労は同情するばかりである。今や学生にとって「内定を取るのは
当たり前」、選好しなければ就職も“全入”時代に突入した感がある。もちろ
んどこに行っても内定を取れない学生も多くいることは確かだが…。

 私の指導している一部大学では、「内定率」を今後重視することは止め(も
ちろん定量データでの把握はさまざまな面で必要だが)、昨年から“内定の質”
重視に転換している。それが正しい指標であるかは疑問だが、「上場企業内定
率」「金融機関内定率」「第一志望内定率」などを意識した就職指導に切り替
えている。もちろん大手企業、金融機関に就職することが、その学生にベスト
マッチ、幸せといえるかは別問題だ。しかし、そうした企業群はその大学のレ
ベルから見れば高いバーだ。大学も全入、企業も全入時代になってきたからこ
そ、学校間の一つの差異化の要因でもあろう。そうした取り組みもできる時代
になってきたのだろう。


             (2007/05/21 人材開発メールニュース第433号掲載)


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