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モチベーションを高めた後は?
 人事担当者の方は、新卒採用に忙しい時期だと思われます。私も先日、新卒
合同説明会を覗く機会がありましたが、企業側の採用意欲の高まりを感じる一
方で、慎重に検討している学生が多いような印象を受けました。

 採用を積極的に進めていくためには、学生に魅力を感じてもらうためにモチ
ベーションを高めることが必要です。また採用に限らず、組織運営においても、
メンバーのモチベーションを高めることが必要なのは言うまでもありません。

 しかし、その一方でモチベーションを高めるということは、それ相当の「場」
「器」を用意して置かなければいけません。あの手この手を使って?モチベー
ションを高めることはできますが、実際にモチベーションが高い人材が組織の
中に入ってきて、その想いを発揮する「場」「器」が用意されていないと言う
ことであれば、高めたモチベーションの分だけ、ショックが大きいのも事実で
す。「期待したのに裏切られた…」と思う個人が存在する組織は、組織全体が
暗くなってしまいます。情報が少ない段階でモチベーションを高めることはそ
う難しくありませんが、トラウマに代表されるような、過去に苦い経験した内
容で再度モチベーションを高めることは、簡単なことではありません。

 最近取り沙汰される企業の不祥事ではありませんが、“言行不一致”言って
ることとやってることが違うということでは、個々のモチベーションも上がら
ない、組織も沈滞したムードに包まる、魅力的な企業活動はできない、という
悪循環に陥いることになります。

 モチベーションを高めることが悪いと言っているわけではありません。新卒
を採用し、意欲あるモチベーションの高い人材が入ってくることで、組織は確
実に活性化されます。個と組織(経営)の関係を考えた場合に、やはり一方通
行ではなく、個人のモチベーションを高めるということであれば、組織(経営)
もそれに応える努力が必要です。内定辞退が多い、離職率が高いと悩まれてい
る組織は、組織(経営)と個人の熱意が違っていると言えます。

 個の集まりが組織であると言えますが、個と組織がお互いに切磋琢磨するよ
うな関係が理想だと言えます。個と組織がお互いにモチベーションを与えなが
ら、それぞれに成長していくような関係が求められていると思われます。新卒
合同説明会で拝見した採用担当者の方々の熱意が、そのまま組織(企業)の熱
意である企業が、最終的には強い組織を形成していくのではないでしょうか。


             (2007/02/26 人材開発メールニュース第422号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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