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2007年・中堅社員研修の現場から
 昨年12月から3社ほど、「中堅社員」研修を担当してきた。どれも新規の
企業で、言葉として「中堅」を使っているが各社各様、当然ながら参加してく
る社員たちの年代層が異なる。中にはベテラン社員研修と称した方が適切と年
齢層もいる。要は、「役職に就いていない」社員で、若手でない人たちの総称
が中堅社員なのだろう。

 バブルが弾けて企業は人件費の抑制、組織のフラット化などを志向し、管理
者は限られた数に絞られ、ほとんどの社員が非役職者、もっといえば専門職、
担当職などに転じてきたことなども要因の一つであろう。

 1社は参加者が30歳前後、これは私が考える範囲の中堅社員層である。一
人に「何歳くらいが管理職に上がる目安?」と質問すると、「45歳前後」と
の答え。その会社は極端なフラット化で階層が少ないこともあるが、この会社
に入社すると、1年間は新人、2−5年くらいは若手、そして6−20年は中
堅社員で過ごすことになる。もちろん、最近は年功序列も崩れているので、年
次や年齢を斟酌しない昇進もあるだろうし、抜擢人事も行われるだろうからそ
のままということはないと思うが…。また、今後、環境変化に合わせた人事制
度の改訂も行われるはずだから、従前の制度が踏襲されることはあり得ないと
は思う。

 とはいっても、役職はどの会社でも数に限りがある。そうなると本人が好む、
好まない、もしくはその任にふさわしい、ふさわしくないに関わらず一生、専
門職という名の中堅社員で職業人生を終える人も出てくる(これも今に限った
ことではないが)。

 小泉前総理ではないが、「人生いろいろ、会社もいろいろ」とは思う。しか
し、中堅社員を卒業すれば次は…と、キャリアの予想ができる、自分の何年後
の姿が予測できる。そのために人は準備しているとは言わないが、ターゲット
の見えない戦いはむなしいのではないだろうか。もちろんキャリアは自分で創
るもの、会社が与えるものではないことも確かだ。

 大勢の中堅社員を前にして演習や講義を進めながら、私は心の中で、こんな
ことを自問自答していた。


             (2007/02/19 人材開発メールニュース第421号掲載)


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