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悲喜交々の採用・就職戦線の始まり
 昨年12月から、毎々、吉例の大学生相手の模擬面接行脚を続けている。
 学生の売り手市場に環境は変化しているが(もちろんすべての学生が売り手
市場ではない)、大学によっては就職が厳しい時代よりも模擬面接参加者が増
える傾向にあり、対応するこちら側が年々、齢を重ねているわけだから体力的
にも大変である。

 今、教育再生で「ゆとり教育」が見直される傾向にあるが、今の大学3年生
当たりがそのゆとり教育第一期生に該当するのどはないだろうか。そう思うと、
学力の低下はさらに加速している感じがするし、とりわけ、考える力、文章を
書く力が最近の中でもかなり劣っているような気がする。物事をとらえるにも、
なんとなく浅薄で表面的、深みが感じられない。浮ついている感じではないが、
フワフワしている印象をずっともっている。

 とはいうものの、模擬面接講座や合宿に参加してくる学生は、就職をそれな
りに望んでいるし、一部では上昇志向というか上位企業を狙っている学生も出
てきて、歓迎すべき傾向にある。上をねらえば狙うほど、バーは高くなるのだ
からそのための準備、研究は従来以上に大変だ。それだけやるべきことが多く
なるはずだから、恐れずに立ち向かってもらいたいと思う。

 一方で、採用意欲が旺盛な企業側はかなり焦っているのか、学生からの報告
によると、合同説明会で好印象を持った学生を次の日に会社に呼んで内定を出
している企業が既に出てきた。私の指導している大学は地方が多いが、地方の
学生は世慣れていないので御しやすいとでも思ったのか、いささか性急さを感
じてしまう。まだ合同説明会を回り始めて企業を見る目も評価する視点も定ま
っていない学生に内定を出して、仮に入社してきたらどうするのであろうか。

 選別眼の養われていない学生は入社しても、辞めるときもあっさりであり、
かえって「隣の芝生はよく見える」ことになりかねない。また、易々と内定を
出す(いくら良い学生であっても)企業は、易々と内定辞退される可能性の方
が高い。

 そんなこんなで、学生は試験も終わり、いよいよ就職活動の本番期に突入す
る。今年も双方の狐と狸の化かし合い、悲喜交々の採用・就職戦線が始まる。


             (2007/02/05 人材開発メールニュース第419号掲載)


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