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個人・集団…マネジメントの2つの視点
 組織運営、人材をマネジメントする上で、「対個人への働きかけ」と「対集
団への働きかけ」という、2つの視点があります
 対個人とは、一対一、部下など特定の人に対して教えることを意味していま
す。一方、対集団とは、多様な価値観を持つメンバーのモチベーションを高め
る、またメンバー間の調整を図るために、公平(ある時には不公平)にメンバ
ーに接することで、全体のバランスをとることを意味しています。

 対個人の働きかけ、対集団の働きかけ、どちらも組織を運営していくために
は必要なことですが、それぞれに必要とされる能力は異なります。例えば、個
人に対して仕事を丁寧に教えることが得意な(指導力が高い)人も入れば、メ
ンバー同士の意見の違いをまとめることが得意な(調整力が高い)人もいます。
指導力と調整力が同一で無いことは、理解していただけるのではないでしょう
か。また研修などを通して、様々な管理職の方とお会いしますが、対個人が得
意(苦手)な方、対集団が得意(苦手)な方、それぞれに特徴・持ち味がある
と言えます。

 組織・職場を活性化するための方向性として、管理職の方々に「対個人への
働きかけ」「対集団への働きかけ」どちらのウエイトが多いかを現状を確認し
ていただき、不足しているものを解消するような方法があります。また前述の
通り、人によって、それぞれの働きかけに強み−弱みがあります。強みを活か
す進め方もあれば、弱みを克服するような進め方もあります。

 また、「対個人への働きかけ」「対集団への働きかけ」は管理職に限ったこ
とでなく、経営者(企業)に関しても同様のことが言えます。経営者の価値観
や企業文化などの違いにより、対個人的な働きかけ(指導力を発揮する)こと
を好む組織体もあれば、対集団的な働きかけ(調整力を発揮する)ことを好む
組織体もあります。
 ベンチャー企業など、まだ人数が少ない企業の場合は、経営者の価値観に応
じて、組織そのもの(組織構造)を変更することを薦めています。「対個人へ
の働きかけ」を実施しやすくするためには、できる限りフラットな組織づくり
を、逆に「対集団への働きかけ」を実施しやすくするためには、権限委譲を明
確に提示するような方法が有効だと言えます(実際は様々なケースがあります
が…)。

 いずれにしても、組織運営していく上で不可欠な人材のマネジメントを考え
る視点として「対個人」「対集団」の現状分析や特性把握をすることで、より
良い組織づくりの課題発見につながるのではないでしょうか?読者の皆さんの
職場では、いかがですか?


             (2006/11/13 人材開発メールニュース第408号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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