Back Number

データの細分化とアイデアの創出
 早くも来期の新卒採用に向けて動き出している企業も多く、さらに厳しくな
りそうだという声も聞こえてきます。また流通業等チェーン展開している企業
においては、新卒・中途と言った社員の採用だけでなく、パート・アルバイト
の採用も思い通りに進まず、悩まれている企業も多いようです。

 採用に関して、何か良いアイデアはないかと相談されることが増えています
が、まずは現状の情報・データを細分化することをお薦めしています。特に広
い範囲で採用を実施されるような場合は、エリアを細分化して、現状を分析し
たり、目標を再設計することで、新たなアイデアが創出しやすくなります。
 例えば全国で採用しているケースであれば、地域ごとや都道府県単位でエリ
アを分割し、エリアごとの採用状況を分析します。多くの場合は、細分化する
ことで採用が目標通りに進んでいるエリア、そうではないエリアが見えてきま
す。もし、全般的に悪いと言うことであれば、もっと細かく分けて見ると必ず
新たな発見があります。例えば、東京都内でも沿線ごとに分けて見ると、様々
なデータが入手できます。(どこまで細分化するかは、様々ですが…)

 また、エリアという切り口だけでなく、年齢や経験年数などを組み合わせる
と、さらに新たな情報が入手できます。細分化して情報を再整理することで、
それぞれの切り口ごとに母集団形成ができている(できていない)、訴求でき
ている(できていない)など、採用の方法(戦術・プロセス)面での課題も見
えてきます。

 採用のブランド力がある大企業や有名企業であれば関係ないかもしれません
が、中堅・中小企業が厳しいと言われる採用環境の中で、人材を適切に確保し
ていくためには、独自のアイデアが必要です。言い古された言葉ではあります
が、“選択と集中”を進めていかなければ、いつまでたっても課題が見つから
ず、問題が解決できないと言えます。

 採用に限ったことではありませんが、情報が多い、少ないということよりも、
どう活用するかが問われています。人材開発の領域においても、何か新たなア
イデアを創出するためには、現存するデータを細分化して、当初の意図とプロ
セスが一致しているかどうかを見極める必要があります。限られた情報・予算
の中で、できる限りの成果を出すためには、保有する情報をフルに活用するこ
とで、活路を見出すことにもっと時間を割いてもいいのではないでしょうか?


             (2006/10/16 人材開発メールニュース第404号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page