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アンラーニングの必要性
 暑い夏が続いていますが、人事の担当者の方々は、内定者のフォローに、さ
らに既に来期の新卒採用の準備に忙しい方も多いのではないでしょうか。色々
なところで、「新卒採用に関しては、数年前と比較して様変わりしてしまった。
我々も考え方を改めないと…」とそんな話を聞く機会が増えています。

 その中でも、採用がある程度順調に進んでいる企業は、当たり前ですが、採
用担当者・採用部門・経営者を含めた企業全体が様変わりした環境を認識して、
これまでの採用の考え方・やり方では通用しないという意識が持っているよう
に見えます。これまでの考え方・やり方を一旦捨てて(捨てる勇気を持って)、
迅速に環境に対応した新しい方法を実施できている企業は、採用が困難な環境
でも、比較的順調に採用ができているようです。

 これまでの考え方・やり方を消し去ることを、人材開発ではアンラーニング
という言葉で表現しますが、学習する(ラーニング)ことよりアンラーニング
(学習したものを意識的に消し去る)することの方が難しいことは言うまでも
ありません。個人レベルでもアンラーニングすることは、強い意志が必要です
が、組織・企業レベルでアンラーニングすることは、さらに強い意志が必要に
なります。

 前述の採用の場面においても、現場を目の当たりにしている採用担当者(部
門)では、これまでの方法では通用しないと感じていても、トップを含めた企
業全体としての理解が得られず、新しい手が打てないと、嘆かれている採用担
当者もいらっしゃるようです。組織・企業全体で、これまで方法が通用しない
という意識が統一できていなければ、かならず採用プロセスのどこかの場面で
現れてしまいます。母集団の形成・説明会・面接(採用部門・トップによる面
接)など選考・内定・内定フォロー、どこかのプロセスで発生した小さなミス
が積み重なり、結果的には満足行く採用ができなかったというケースもあるよ
うです。

 採用に限ったことでなく、景気が回復局面?と言われる中で、様々な場面で
環境の変化が激しくなっています。環境変化に適応するために、新たに学ぶ・
実施する事に関しては話題は多いようですが、新たに学ぶために、これまで学
んだことの中で何を捨てるのかという議論は少ないようです。変化に適応する
ために、特に組織・企業レベルで「消し去ること」を真剣に考えることも必要
ではないでしょうか?


             (2006/08/28 人材開発メールニュース第397号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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