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リアリティ・ショック
 リアリティ・ショックとは、現実が理想とかけ離れていることに衝撃を受け
ることですが、人材開発の場面においては、入社前のイメージと実際に入社し
た現実の違いを消化しきれずに、離職する人材や喪失感を持った人材が発生す
ることを意味しています。

 言うまでもなく、最近では人材の採用・確保・定着が大きな課題として取り
上げられ、採用や採用した人材の導入の場面において、リアリティ・ショック
をいかに回避するかということに注目が集まっています。

 リアリティ・ショックをもう少し具体的にイメージするために、横軸に時間、
縦軸に組織への理解度(ロイヤリティ)として考えると、個人差はありますが、
大よそU字型になると言われています。誰でもそうだと思いますが、入社時は
組織に対する期待も高くバーチャルな感覚ですが組織への理解度(ロイヤルテ
ィ)も高い位置からスタートします。入社後、現実を知ることで組織の中での
自分のポジションなどを見つけるまでは不安な気持ちになり、組織への理解度
(ロイヤリティ)が一旦下がります。しかし、徐々に仕事を覚えていく過程で、
ある時期を境に組織の中での自分の役割を見出し、組織への理解度(ロイヤリ
ティ)が高まっていくようになります。

 人材開発の場面において、リアリティ・ショックを回避する、少なくとも離
職する人材、喪失感を持つ人材を出さないようにするためには、3つのポイン
トがあります。

 1つ目は、できるだけ最初の理解度(ロイヤリティ)を高めておくこと。理
想を高く持たせる、と言うと誤解を受けるかもしれませんが、それぞれの企業
が取り組む事業や仕事がどれだけ魅力的なことかを、理解させることが必要だ
と言えます。
 2つ目は、U字型のカーブをできるだけ緩やかにすること。これは、できる
だけ入社前と入社後のギャップを感じないように、入社前に正確な情報を伝え
ておくことが必要になります。
 3つ目は、時間軸で考えた場合、U字型の底をできるだけ早く迎えること。
入社後、戸惑っている人材を発見したら、仕事の意味など全体観について情報
を提供したり、フォローすることが必要になります。

 リアリティ・ショックを回避する方法の代表例として、最近導入が進んでい
るのがインターンシップ制度であると言えます。インターンシップがリアルテ
ィ・ショックを回避する方向で、運営されているかどうかは、結構バラツキが
あるようですが…。

 前述の3つのポイントは、どれも当然のことのようですが、新卒・中途に限
らず、採用や定着促進に関して悩まれている企業・職場においては、3つのポ
イントを見直すことで何かヒントになることがあるのではないでしょうか?


             (2006/06/26 人材開発メールニュース第389号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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