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専門学校生の就職活動−2006年
 5月中旬、東京にある国の大規模な研修施設で仕事があったので朝早く最寄
りの駅に、降り立った。改札を出るとそこにはスーツ姿の若い男性が100人
くらいだろうか、駅前の道が混雑している。どこかの会社の新入社員研修の受
講生だろうと眺めながら施設に向かう。私の前にも多くのスーツ姿が歩いてい
る。楽しく談笑しながら歩いているのが大半だが、道幅一杯に広がり通行する
車の多くが立ち往生して前に進めない。マナーもエチケットもまったく気にし
ない。歩き方もだらしなく、髪型もどことなく汚い。どこの会社の新入社員で
どんな教育をしているのかと憤りながら、会場に着いたらさっそく社名を調べ
てやろうと思った。

 施設の門をくぐると、その新入社員らしき集団が通路に立っている係員に挨
拶をしている。その係員の腕章を見ると某専門学校の名が。テレビCMを多く
流している大手である。そうか、この不埒な集団は専門学校生なのか、どうや
ら就職活動の講習に来ているようだ。しかし、あの光景を目にすると、就職活
動の根本を教えていない気がしてならない。これで就職させる学校のレベルも
気にくわない。どうせなら駅からの道筋に係員が立てばいいのにとも思ってし
まう。

 専門学校生の就職活動のスタートは2年生(3年生)の5月が多いようだ。
私がお手伝いしている短大でも遅くても4月にはスタートしているのに、ちょ
っと始動時期の遅さが気になるところだ。とはいえ、前の週に、地方の某専門
学校の就職活動キックオフを兼ねた合宿研修の講師を務めてきたばかりだから、
やはり5月スタートが一般的なのだろう。社会とのギャップがやはり気になる。

 思えば、専門学校生も短大生も、可哀想な気がする。18歳前後で学校に進
学し、丸1年、学生時代を過ごしたと思ったら、もう就職活動である。学生と
しての楽しみもさほど味わえないまま無理矢理就職に進まされる。四大生は丸
2年半、学生生活に没頭できる(といってもすっかり弛緩してしまい、勉強そ
っちのけでアルバイトに精を出す輩が多いが)。そのうえ、専門学校生は学科
によっては毎月資格や検定の勉強と受験に追われて一年を過ごす。2年になっ
て5月スタートといっても6月に重要な資格・検定が控えているから就活にの
めり込むこともままならないのが現実だろう。また、専門学校はクラス分けさ
れ担任がいる。高校の延長線のような感覚で学生生活を過ごす感じでもある。

 それでも確実に就職活動はやってくる。社会全体は人手不足感の高まりもあ
り、それなりに就職活動をしていけば内定獲得は困難ではないだろうが、その
ためだけに進学したわけではないだろうから、やっぱり一生に一度しかない学
生生活を謳歌して欲しいところだ。さっさと内定をゲットして悔いのない、お
気楽な日々を送ってもらいたいものだ。


             (2006/06/05 人材開発メールニュース第386号掲載)


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