Back Number

2006年の新入社員研修を振り返って
 今年も新入社員研修が一段落した。4月早々に新入社員研修を終えた企業も
多いと思うし、4月3日だったか日本経済新聞に載っていた企業事例では半年
の期間だったり1年間英語漬けの企業が紹介されていた。各社とも戦力化も重
要なテーマだと思うが、早期退職防止のための仕事や会社理解に時間を費やす
ことも多いのではないだろうか。

 今年の新入社員の呼び名は、ご存知の方も多いと思うが“ブログ型”だそう
だ。その心は「表面上は従順だがさまざまな思いを秘め、時にインターネット
の日記を通じ、大胆な自己主張をする」とのことだ。その呼び名に囚われてい
るわけではないが、少ないながらも数社、数十名の新入社員と接してきて、確
かに「今年もおとなしいなあ、真面目だなあ、つまらないなあ」という印象を
強く持った。年々真面目さというか、おとなしさが全体的に加速されているよ
うな気がする。言われたことはきちんと守るし受講態度も真面目。時間も厳守、
休憩時間などは10分なのに5分も経てば席に着いている。こちらが休憩しづ
らくなってしまう。懇親会で酒を飲めば個々にみれば、さっさと一次会で部屋
に戻ってしまうし、ロビーで携帯で彼女彼氏らしい相手との話に突入している。
もちろん新人としての緊張感、研修という場の役割行動なども影響されている
と思うが、それにしてもとても物足りない。

 資格・検定を多く持ち、語学力もありPCも使いこなせる優秀な人材なのだ
ろうが、何かつまらない、何かが足らない、人間味が感じられない。もっと、
羽目を外すとか、若気の至りといったものが出てきてもいいと思う。新人なん
だもの、失敗、勇み足、無知の仕業…大歓迎と思うのは私だけか。

 とはいうものの、相変わらずチーム活動は成果にむすびつかない。今年は自
らの信念をやや曲げて、新入社員なんだから成功体験も大切だと考え直して、
従来よりも簡単なゲームを取り入れてみたが、それでも成果は不満足領域に留
まる。何か「考えていない」という印象を受ける。与えられた知識を吸収する
能力は高いのだろうが、答えが見えないと創意工夫や考えをぶつけ合って、そ
こから新しい知恵に昇華していくことができないような感じだ。いろいろと討
議、話し合いはしているが、活動がコラボレートしていかないし、共創関係の
中でより良い答えを導き出していくことに結びついていかないようだ。

 とはいうものの、彼ら彼女らは社会人生活のスタートを切った。社会の荒波
の中、持てる力を存分に発揮して、成長を重ねながら育っていって欲しい。


             (2006/05/22 人材開発メールニュース第384号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page