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人材開発部門の情報発信
 先日、経済産業省・経済産業政策局長の私的研究会である「社会人基礎力に
関する研究会」(座長:諏訪康雄法政大学大学院教授)から中間とりまとめが
発表されました。
→ http://www.meti.go.jp/press/20060208001/20060208001.html

 この中間とりまとめでは、「社会人基礎力」の明確化、その育成・評価等の
ための企業、学校、政府等の取組の在り方等が報告されています。特別なこと
が書いてあるわけではありませんが、求められる能力を共通言語としてわかり
やすくまとめ、情報発信することで、「つながり」を強化することが改めて大
切だと感じました。

 報告書にも書いてありますが、約61%の大学生が「企業の採用基準が明確で
ない」と回答する一方、約73%の企業が「求める人材像」について「きちんと」
又は「ある程度」伝わっていると回答しており、両者の間には大きな認識のギ
ャップがあると指摘されてされています。どちらが正しいとかどちらが間違っ
ているということでなく、「認識にギャップが存在している」という事実を受
け止め、ギャップを埋めていくために連携を図る=つながりを強化することが
重要であると言えます。

 企業内の人材開発においても同様のことが言えます。例えば人事考課の場面
において、経営(人事・人材開発)サイドからは、評価基準を策定した…、一
方社員サイドでは、何を基準に評価されているかわからない…という声を聞く
ことも増えています。大事なのは評価基準を策定したことではなく、お互いに
共通認識を持っているかどうかだと言えます。

 組織とは異なる価値観を持つ個人が集合して形成されているものです。個々
の力を組織の力として発揮するには、「つなぐ」という考え方が今後益々必要
になると言えます。人材開発を部門に限ったことではありませんが、今後、事
業を推進していく上で、経営と社員を「つなぐ」、そのための共通目標・共通
言語の策定し、発信し続けることが益々重要になると言えます。採用・人材育
成・制度策定など、企業内の人材開発は多岐に渡りますが、何のために人材開
発を行うかという本質的な部分は、「求める人材像や社員に対する期待を明確
にし、それを周知徹底・促進する」ことであるように思われます。

 逆説的に言えば、「求める人材像」や「社員に対する期待」が曖昧なままで
は、どの手段も不完全であるように思われます。言い古された表現ではありま
すが、企業を取り巻く環境変化のスピードが加速すればするほど、これからの
人材開発部門においては、「求める人材像」や「社員に対する期待」をタイム
リーに情報発信する機能を強化することが必要ではないでしょうか?


             (2006/02/27 人材開発メールニュース第373号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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