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夢が無いのは…
 最近ある会社の教育担当者から、入社3年目社員を対象とした研修を実施し
た時の話を伺う機会がありました。その研修は、入社3年目の社員に対して、
各自に将来取り組みたい仕事のイメージなどを考える内容だったわけですが、
教育担当者曰く「最近の若い人は夢がない」と嘆かれていました。
 その会社では、以前から上記のような研修を行っているわけですが、年々突
拍子も無いことを書いてくる人が減って、現実的な路線で自分の将来をイメー
ジしている人が増えているようでした。それぞれが書き出す目標が無難で、少
し頑張れば間違いなく届くような目標が多く、ある意味自分の置かれている立
場や状況を正しく理解しているとも言えますが、目標を高く掲げて自らにプレ
ッシャーをかけて行く様な人材が少なくなったと言われていました。

 最近の若手社員の傾向として、上記のような話を聞く機会が最近増えている
ように思えます。ただ、私も学生や若手の社会人の方々と話す機会があります
が、全ての人が「無難な?」考え方をしているかといえば、そうではないと感
じています。社会人として数年経過した人が、無難な答えを多く書いてくるの
は“人”ではなく“組織・環境”の問題が多いと思われます。

 少し話は変わりますが、「新しいアイデア」が出てこないと悩んでいる組織
では、往々にしてアイデアが無いのではなく、出てきたアイデアを、その組織
の現時点での常識と照らし合わせて、聞き逃したり、封じ込めているケースが
多いようです。アイデアが出てこないのではなく、出しにくくなっていること
が多いと言えます。
 また、出てきたアイデアの中には、明らかに駄目だと言わなければいけない
ものも存在しますが、その場合においても、何故駄目なのかを十分に説明して
いない、どうすれば駄目で無くなるのかを協議していないケースが多いように
思えます。個人のアイデアが無いのではなく、組織としてアイデアを育ててい
ないケースが多いようです。

 前述の話に戻りますと、夢が無いのは「入社3年目の人材」ではなく「組織」
なのかもしれません。そのあたりを敢えて見直す勇気が無ければ、夢を持った
人材はいつまで経っても育たないのではないでしょうか?
 読者の皆さんの周りではいかがですか?


             (2006/01/30 人材開発メールニュース第369号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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