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残業について考える
 景気の回復?とともに、忙しくなったという人が増えているようです。最近、
いくかのソフト開発会社のSEやPGと言われる方々とお話する機会がありま
したが、今まで以上に残業が増えたと言う人が多かったようです。ただ色々と
話を聞いていると同じように残業をしている人でも、残業に対する不満に関し
ては、かなり個人差がありました。

 残業に対する不満はイコール時間の長さ(量)ではなく、残業という行為に
対する本人のコミットメントによって大きく違っているように思われます。残
業を自らの意思で行っている人と、本人の意思ではなく“やらされている”人
では、残業に対する不満は大きく違っているようです。
 特に残業に対する不満が高い人は、“やらされている”“しょうがない”と
いう感じ残業することが多く、結果仕事の効率が悪くなり、さらに多くの時間
を費やしているという悪循環に陥っていることが多いようです。
 サービス残業問題も様々なところで取り上げられていますが、残業をする人、
させる人(管理者)双方にとって、タイムマネジメントは重要な課題であると
言えます。

 残業に対する不満が高い職場において共通しているのは、職場内のコミュニ
ケーションが少ないことが挙げられます。残業は、何かの業務を完遂するため
の手段であるはずですが、残業という手段を使って、「何を」「どのように」
完遂するかが明確でない、相互に理解されていないことが多いようです。また
本来の目的は、業務の完遂ですが、残業以外の方法論に関して何ら議論がなさ
れてなく、ある意味残業が目的化していることが多いようです。
 そんなことは言わなくてもわかっていると思われる人も多いようですが、お
互いにわかっていることを問題として捉え、話を始める“勇気”が少ないのも
特徴のような感じを受けます。

 私自身、決して残業が全て悪いと思っているわけではなく、また逆に残業を
奨励しているいるわけではありません。しかし、通常業務(レギュラー)の効
率やモチベーションに悪影響を与えるような残業(イレギュラー)に関しては、
改善する必要があると言えます。繰り返しになりますが、残業がイレギュラー
でなくレギュラーだと決めつけている職場では、いつもでたっても改善が進み
ません。達成感が得られない残業は、辛いのは言うまでもありません。

 今後労働人口が減少していく中で、労働生産性をいかに高めていくかという
ことが、重要な経営課題、人材開発課題の一つになると予測されます。「もう
少し気持ちよく働くためには、どうしたら良いか」ということを素朴に考えて
いる組織は、労働生産性が高い印象を受けます。レギュラーとイレギュラーに
ついて、残業する人、させる人(管理者)が双方に話し合い、知恵を出し合う
ことで、改善できる余地は相当に残されているように思われます。
 みなさんの職場はいかがですか?


             (2005/12/12 人材開発メールニュース第363号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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