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同じ研修で違う課題(役割)を与えてみる
 中堅企業・中小企業と言われる企業の中には、従業員が少ないために、研修
を実施したくても、やれないと言われる企業があります。特にマネジメントを
強化したいと考えた際に、管理職・監督職と言われる方々の人数が少ない、か
つ個々のマネジメントスキルにもバラツキがあるために、まとめて研修を実施
すると管理職にとっては簡単なものでも、監督職にとっては難しすぎるような
ケースもあります。そのため、それぞれのレベルに応じて外部研修に参加させ
ると、たしかに刺激になるが、どちらと言えば内容が一般的で、もう少し自社・
現場に即した内容を実施したいと悩まれている企業もあります。このような話
は、従業員が少ない会社、階層ができあがっていない会社では、内容の差異は
あれ、よく聞く悩みです。

 上記のような悩みを持った会社で、社内(内部)研修を進めていく方法とし
て、同じ研修に参加していただきながら、それぞれに違う課題(テーマ)を与
えて実施する方法があります。例を一つ挙げると、リーダー(監督職)とマネ
ジャー(管理職)が数名ずついる会社で、管理職と監督職をまとめて研修を実
施した時の事例ですが、研修のテーマは、リーダー(監督職)に焦点をあて、
設計します。リーダーに部下・後輩を指導する上で、最低限理解して欲しい知
識・スキルを身に付けるという視点で実施し、一方マネジャー(管理職)には、
一緒に受講するというよりも、見学者(オブザーバー)として、参加していた
だきます。
 具体的に言えば、受講するのではなく見学する上での課題、例えば、「今回
の研修におけるリーダーの理解度はどうか?」「研修を踏まえた上でリーダー
が現場で仕事を行う際にサポートしたいことは?」「もう少し研修内容を理解
してもらうためにサポートしたいことは?」などを設定した上で参加していた
だきます。

 リーダーに対する研修の後に、マネジャーには、課題に対するレポートを提
出していただき、その後でマネジャーだけを集めてオブザーバー・ミーティン
グを実施し、課題に対する討議を行います。討議においては、研修の受講者で
あるリーダーの人数が少ないために、このリーダーには、もっとこういう仕事
を担当させた方が良い、こういう指導をした方が良い、等かなり具体的な意見
が出てきます。
 マネジャーは、ただ単に受講するだけでなく、部下の育成を考えながら、見
学していただく形になりますので、自分が研修対象者として受講するよりも?
一生懸命に取り組んでいる面もありました。

 リーダーには実務・知識面で学んでいただきつつ、マネジャーには研修と言
う「場」を通して、日頃の部下育成について考えていただけるきっかけになっ
ていると言えます。正直なところ、運営する側は結構大変ではありますが、少
し研修の方法を変えてみると、色々と新たな効果も生まれてきます。皆さんも
試しにやってみてはいかがですか?


             (2005/08/29 人材開発メールニュース第348号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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