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指導育成機会はできるだけ早めに…
 新入社員や若手社員の育成を考える際に、最初はまず仕事を覚えてもらうこ
とがテーマになると思われます。ある程度仕事を覚えた次の段階で、どんな育
成をすべきかと相談されることがありますが、私の場合は、できるだけ早く後
輩や部下の指導育成を担当させることを薦めています。
 後輩・部下の指導育成をただ単に担当させるだけでなく、定期的に後輩・部
下の指導育成における目標や課題を上司または教育部門に提出させるような仕
組みづくりを薦めています。

 話が少し変わりますが、学校には先生と生徒がいます。先生は生徒に色々と
教えるわけですが、その確認も含めテストを実施します。実際現在の学校で、
テストがどのような位置づけになっているかわかりませんが、本来テスト(試
験)を実施することは、生徒の理解力を測り、より理解力を向上させるための
課題を発見し、次の指導育成につなげていくことにあると言えます。

 企業内で後輩・部下の指導育成を担当するということは、これまではテスト
を受けるだけの立場(生徒)から、テストを作る立場(先生)への役割の変更
を意味していると言えます。当然、入社数年目の方はテストを作るだけでなく、
上司からはテストが与えられ、後輩・部下にはテスト作っていくという両方の
役割を担うことになります。従来のテストを受けるだけの立場から少しずつテ
ストを作る役割が増えていると考えられます。

 良い指導者の1つの条件として、テスト(課題)の作り方が上手いというこ
とが挙げられます。テストを受ける側の立場も踏まえ=現状を把握し、学習意
欲・挑戦意欲が継続できるような=目標達成に向けた努力が継続されるような
テスト作りができれば完璧です。
 後輩や部下の指導育成にあたる際に、会社(部門)の方針を踏まえ、適切な
課題を設定することは、戦略的な取組みであると言えます。より大きな事業戦
略や経営戦略を策定・推進するためのエッセンスが凝縮されているように思わ
れます。

 将来的な事業リーダーを育成するためにも、できるだけ早い時期から後輩・
部下の指導育成を担当させ、そのプロセスとして課題作りをたくさん経験させ
る、また会社(組織)としてそのバックアップを図ることは、非常に大事なこ
とではないでしょうか?


             (2005/07/11 人材開発メールニュース第342号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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