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業務改善における思考のクセ
 業務改善を実施する際に、社員の意見を取り入れようと、アンケートなどを
実施するケースがあります。社員の声、現場の声を取り入れることは良いこと
ですが、上手く運営しなければ、現場の不満を増幅させる恐れがあります。

 当然のことですが、業務改善・問題解決においては、最低限「問題の発見」
「原因の追及」「対策の立案」の3つをセットで考える必要があります。何も
考えずに?アンケートを実施すると、往々にして、「問題の発見」>「原因の
追及」>「対策の立案」というような感じで回答が戻ってくることがあります。
「ここが悪い、あそこを改善するべきだ」と問題の発見や原因の追及に関して
は、たくさんの意見が出てきますが、肝心の対策の立案に関しては、ほとんど
意見が出ないケースも多いようです。
 これでは、ただ単に日頃の不満を吐き出すだけになってしまいます。不満を
吐き出すことも大事ですが、吐き出した意見に対し、何も変わらない状態が続
けば、さらに不満が増幅されることになってしまいます。実際に問題解決力が
高い組織においては、必然的に3つの項目が議論されていることが多く、逆に
問題解決力が低い組織においては、前述の通り、「ここが問題だ!」という議
論に終始していることが多いようです。

 細かい話ですが、業務改善・問題解決を進めていくためには、思考の“クセ”
をつける必要があります。社内から意見を集める前に、問題発見・原因追及・
対策立案の3つをセットで考えることを指示・指導することも必要です。また
アンケートを取る際には、上記3点をもれなく記載できるようにフォームを工
夫することも必要だと言えます。OJT、OFF−JTに関係なく様々な場面
で、問題発見・原因追及・対策立案を意識させることで、着実に行動も変化し
ていきます。

 最近、特に中堅・中小企業の人材開発の現場において、業務知識・スキルに
関するトレーニングは次から次へと実施されていますが、ビジネス基礎スキル
のレベルアップには関心が薄い職場も多いようです。パソコンで例えるならば、
アプリケーションソフトは次から次へと導入されているが、OS(オペレーテ
ィング・システム)のレベルアップには何も手がつけられていないというイメ
ージでしょうか?
 人材育成の計画を策定する場面で、OSのレベルアップについて具体的な目
標を設定する“クセ”をつけたいですね。


             (2005/05/30 人材開発メールニュース第336号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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