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経営を学びたい?
 最近、いくつかの会社で社内勉強会の運営をスタッフとしてお手伝いしてい
ます。経営者や人事教育担当部門が発案して社員に受けさせる?ものではなく、
社員自ら学習したいテーマを見つけ出し、自らの手で学習しようとするもので
すが、最近はこういう試みも増えています。運営と言う点においては、試行錯
誤しながら進めていますので、中にはイメージ通り進まないこともあります。
しかし、自発的な意志によって進められているので、私としても楽しい仕事の
1つになっています。

 ある会社で社内勉強会を開催するために若手社員にアンケートを取ったとこ
ろ、経営について勉強したいという意見がたくさん出されました。その会社で
は、日頃から社員に対して、将来的には経営者・事業責任者を目指せと言われ
ていることもあり、そういう意見がたくさん出されたと思われます。
 経営について勉強したいという意欲は評価できますが、その反面、少し寂し
い感じがしました。経営者に限らず、事業を推進していく人材になるためには、
経営に関する知識を身につけることは必要だと思います。しかし、無ければで
きないかというと、恐らく必須ということではなく、あった方が進めやすいと
言う感じではないでしょうか?現在経営者として活躍されている全ての方が、
体系的に経営に関する知識を学んでいるかと言えば、決してそうではないよう
に思われます。

 この件に限ったことではありませんが、最近の傾向として、「○○がないか
らできない」という場面によく遭遇します。教えてもらっていないからできな
い、答えがわからないからできない、という言葉が特に若手の社員から出てく
ることが多いようです。

 本来、経営と言うものは答えが無い・見えない状況で意思決定を行うものだ
と言えます。勿論、むやみやたらに意思決定しているわけではあるませんが、
どんな場面でもある程度のリスクを背負って意思決定を行っているはずです。

 経営について学習することは重要なことです。ただそのプロセスにおいて、
答えがあると思って(答えを求めて)学習することと、答えは無いと理解した
上で学習するのでは大きな差が生じるように思われます。特に本気で経営者や
事業責任者を目指す人材であれば、誰かが答えを教えてくれると言う発想は持
って欲しく無いですね。
「絶対的な答えは無いけれども、自ら意思決定を行い、目的・目標を達成に向
かう、そのために社内外の関係者を動かす確率を高めるために知識を身につけ
たい」と考える、フレームワークを持てる人材をいかに育成するかが(私にと
っても)今後の大きな課題だと言えます。


             (2005/04/25 人材開発メールニュース第332号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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