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感動を与えるサービス?
 サービスを向上させるために、顧客に感動を与えるというテーマが最近よく
取り上げられています。顧客のことを考え、感動を与えることは非常に大切な
ことだと言えますが、少し否定的な見方をすると、感動はサービスの受け手が
“する”もので、サービスを提供する側(送り手)が“させる”ものではない
ように思われます。感動を与えるという美しい?テーマが流行する中で、サー
ビスの実態がかけ離れていることも増えているように思われます。

 例えば、ある顧客に評判の良かったサービスを、違う顧客へと水平展開して
いく方法がよく実行されます。顧客の持つニーズが同質であれば、水平展開も
可能ですが、ニーズが異質の顧客に同様のサービスを提供しても…相手は満足
しないことが予想されます。「(顧客不在で)感動を与えることに一生懸命に
なること」と「“個”客に感動を与える」ことを混同してはいけないように思
われます。

 社員研修の現場でも、よくあることですが、評判の良かったサービスの事例
を他の職場や他のメンバーに共有する方法がとられることがあります。ねらい
としては悪くないのですが、サービスの事例(型)だけが共有されて、なぜ顧
客がサービスを喜んだのかという理由や背景が置き去りにされていることも少
なくありません。真に共有されなければいけないのは、喜ばれた理由や背景で
すが、形・型だけが先行して共有されることはよくあることです。形や型は見
えやすい、わかりやすい、伝えやすい(伝わりやすい)のですが、幹となるべ
き理由や背景を理解できていなければ、違う場面で活用しようと思っても、応
用が効かないのは言うまでもありません。

 今一度顧客の立場・状況・場面に立ち戻って考え、行動しなければ、独りよ
がりなサービスとなり、「感動を与える」ために行ったことが、返ってサービ
スの悪い会社として烙印を押されてしまうこともあるのではないでしょうか?
 みなさんの周りで、評判が良いサービスはどんなサービスでしょうか?


             (2005/03/28 人材開発メールニュース第328号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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