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苦戦する中途採用
 このところ企業の採用意欲が急激に回復しています。各企業から出される来
年度の新卒採用計画も軒並み増加していますし、また中途採用を強化したいと
言う声を聞く機会が増えています。
 実際私がお手伝いしている中堅・中小企業でも、中途採用を積極的に行って
いる会社がかなりあります。しかし、採用意欲は高いにもかかわらず、中途採
用で苦戦しているという話を聞く機会も増えています。

 特に人気が高いと言われる「30歳前後の経験者採用」では、苦戦している企
業が増えているようです。その背景を考えますと、一つは全体的に中途採用が
増えてきたために、各企業ごとの争奪が激しくなっていると言えます。もう一
つは、経験者そのもののボリュームが小さいということも考えられます。

 人気が高い?「30歳前後のビジネスマン層」…彼らが新卒の頃、大卒であれ
ば1990年代後半、バブル崩壊期であり、リストラが次から次へと進められ、多
くの会社が新卒採用を抑えていた時期です。現在の中途採用でも、1990年代後
半、比較的新卒採用を行っていたIT系の職種は、中途採用で苦戦していると言
いながらも何とか採用することができています。一方その他の職種、特にメー
カーの技術系に代表されるような職種においては、その当時、新卒採用を抑え
ていたこともあり、今、中途採用したいと思っても、人材そのものがいないた
めに苦戦している会社が多いようです。

 中途採用で苦戦している企業(特に中堅・中小企業)では、市場(経験者の
母数)が少ないということを前提に自社の採用方法を見直す必要があるように
思われます。
 市場が小さいということであれば、年齢層(ターゲット)を見直すなど、市
場を拡大して考えることが必要なのかもしれません、また、小さい市場で勝負
するということであれば、より転職を希望する人へ魅力的なPRが必要になるの
かもしれません。いずれにしましても、中堅・中小企業で苦労している企業の
多くは、市場の分析が無いままに、採用方法・方法論ばかりが論じられている
ように見えます。

 現在、採用が回復基調にあるということは明るい話題ですが、その一方で、
ここ数年NEET呼ばれる若者たちの存在がクローズアップされています。彼らが
第一線で活躍して欲しい時期、これから10年後に企業の人員構成がどうなって
いるのでしょうか?人員計画・要員計画に、今後益々中長期的な視点やマクロ
的な視点が必要になるのではないでしょうか?


             (2005/02/28 人材開発メールニュース第324号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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