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リーダーに求められる意思決定
 人材開発の主要なテーマのひとつとして、いつの時代においてもビジネスリ
ーダーの育成が挙げられます。リーダーに限ったことではありませんが、仕事
ができる人の一つの特徴として、仕事が速いと言うことが挙げられます。特に
リーダーにおいる仕事の速さという意味は、動作が速いと言うことでなく、意
思決定が速いと言うことを指しているように思われます。
 もう少し細かく見てみると、何でもかんでも速く決定しているということで
なく、素早く決断して良いことと簡単に決断してはいけないことの棲み分けを
瞬時に意思決定しているように思われます。また即座に意思決定できないもの
に対して必要な情報収集を行うなど対応が速いために、最終的に全ての意思決
定が速いと言う印象を周囲に与えているように思われます。
 「意思決定をする前の意思決定」分かりづらいかもしれませんが、最近個人
的には非常に気になっているテーマです。

 仕事ができるリーダーの意思決定上のもう一つの特徴として、一貫性も大事
な要素であると思われます。意思決定を行う際に毎回毎回コロコロ変わるので
はなく、一貫した信念・思想・価値観にもとに物事が進められているかどうか
で、メンバーの信頼も変わってきます。
 環境変化が激しい現在では、当然事業・業務の進め方も変化に対応して臨機
応変に変えていく必要もあります。しかし、臨機応変に対応するということは、
根底となる信念・思想・価値観があるはずです。プロセスを臨機応変に変えて
いくことは必要ですが、根底となる目的については一貫性が必要です。一貫性
が無ければ、プロセスを変える度にメンバーの信頼が薄れていくようにも思わ
れます。(勿論リーダーの持つ信念・思想・価値観そのものがメンバーに受け
入れられないものであれば論外ですが…)
 前述の「意思決定をする前の意思決定」の速度も、日頃から絶えずこの目的
と照らし合わせて行動しているかどうかがポイントになっているように思われ
ます。

 もちろんリーダーと呼ばれる方に必要なことは、意思決定の速さや一貫性だ
けでなく、その他にも色々なものがあるように思われます。
 しかし、企業・事業の方向性と現場・メンバーをつなぐリーダーの優劣が、
企業の業績の鍵を握っている現在、意思決定の速さや一貫性を再度検証するこ
とで、現場への影響力を変える可能性が存在するように思えます。
 「つなぐ」存在であるからこそ、意思決定の速さや一貫性がより求められて
いるのではないでしょうか。そのためには、当然のことではありますが、リー
ダー自身が主体性を持つこと(自分の意見を持つこと、自分の言葉で話すこと)
が益々大事になっていると言えます。


             (2004/10/11 人材開発メールニュース第305号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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