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次世代経営人材育成の推進の視点
「人材開発メールニュース 279号」のワンポイント・アドバイスで「次世代経
営人材育成」について掲載しました。今回は少しその続き?を紹介したいと思
います。

 以前コラムにも掲載しましたが、経営人材育成において、まず管理と経営は
違うと言う認識が必要になります。管理が上手い=経営が上手いとは限らない
と言えます。。経営と管理の大きな違いは、決断をする、答えの無い世界での
決断、未来に対する意志決定を行うことにあると言えます。

 次世代経営人材の育成は色々な企業で困っていると言う話を聞きますが、特
に創業社長から世代交代を考え始めた企業で困っている、悩んでいると言う話
を聞くことが多いようです。正直なところ、創業社長の持つビジョンを超える
ような次世代が育つというケースは少ないように思われます。(勿論、全てで
はありませんが…)

 少し話が外れてしまいましたが、経営人材育成のキーワードは“決断”であ
ると言えます。換言すれば、「社員(構成員)が納得して動き始める、決断す
る仕組み」が必要であるとも言えます。
 決断ができる枠組みを構築するという視点から、次世代経営人材の育成を考
えることも大事だと思われます。具体的に言えば、経営者を育成するだけでは
なく、経営チームを育成するという方法もあります。一人で意思決定する、一
人だけに意志決定を任せるのではなく、次から次へと飛び出してくる経営課題
に対して、タイムリーかつ迅速にチームとして意思決定できる仕組みを構築す
るという方法もあるように思われます。

 昔から言われていることですが、強い組織には、優秀な指導者・指揮者だけ
でなく、優秀な参謀がいると言われます。指導者・指揮者と参謀の相互に信頼
関係を持つと言うことが前提ですが、相互に信頼関係を持つ複数のメンバーが
チームとして上手く役割分担を行い成長を続けている組織・企業も多いように
思われます。

 次世代経営人材の育成の話で気になるのは、経営“者”を育成することに傾
倒しすぎていることです。勿論強いリーダーシップを持った個人が現れること
も必要だと思われますが、これだけグローバルかつ変化が激しい環境の中で、
舵取りを任せることができる個人を計画的かつ意図的に育成することは、簡単
ではないと思われます。

 ビジョン・将来に対する意志決定を行う仕組みを構築すると言う観点で、次
世代営人材の育成を考えると、もっと多くの選択肢があるように思われます。
一人ではなく複数の価値観を持った人材を一つの指揮団として、とにかく任せ
てみる。プロジェクトを任せる、事業部を任せる、人材の組み合わせを色々変
えるなど、たくさんの人材に、たくさんのチャンスを与える中で、良い面・悪
い面が浮き彫りになってきます。一言で言えば、「本気になって試行錯誤を繰
り返す」ことが必要になります。しかし、試行錯誤が可能な時間は限られてい
るとも言えます。本気でスピード感を持って、試行錯誤を繰り返すことが、次
世代の経営人材育成に必要なことではないでしょうか。


             (2004/04/26 人材開発メールニュース第283号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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