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次世代経営人材育成の前提?
 大手企業を中心に採用を増やすというニュースが増えてきました。企業業績
の回復やリストラの一巡を背景に、大企業を中心に採用意欲が高まっていると
言われていますが、まだ私個人的には実感すると言う感じではないですね。
 明るいと言った実感はありませんが、私の周りでも新規事業に関する話題を
聞く機会が増えいるように思えます。新規事業の話題が出ると必ず人材の話題
になりますが、そこで必ず聞こえてくるのが、「人材がいないと言う」お決ま
り?の話題です。事業・経営を任せることができる人材がいないと言われます
が、第3者として見ているとただ単に任せていないだけのようなケースもある
ようですが…。

 最近の人材開発の主要なテーマの一つとして「次世代の経営人材育成」が揚
げられ、様々なところでその方法論などが議論されています。私のところにも、
次世代の経営人材育成について相談されるケースが増えていますが、「経営者、
経営者人材の育成」を考える際には、いきなり方法論を考えるよりも、「経営
とは?」という本質なことも考える必要があるように思います。

 多くの会社ではどちらかと言えば、管理者として優秀な方が経営者に登用さ
れています。しかし、そもそも経営と管理は全く異なり、優秀な管理者が優秀
な経営者になるかどうかはわかりません。経営と管理の違いについては、色々
な考え方がありますが、時間と言う切り口で考えると、経営は「未来・将来」
について物事を進めることであり、一方、管理は「現在(今期)」について物
事を進めることと言えます。管理を行う上でのノウハウは知識を蓄積すること
で、バリエーションが増え、精度を上げることが可能です。しかし、経営は知
識を蓄積する(インプット)だけでは不十分であり、知恵を出す(アウトプッ
ト)ことが要求されます。経営とは行動であり、行動とは決断であり、決断と
は考えることでもあります。

 また、現実に目を向けてみると、ほとんどの経営者は、誰かに意図的に育成
されて経営者になったのではなく、自分で考え、行動した結果、経営者になっ
ているのではないでしょうか。これもよく言われることですが、「次世代の経
営者育成」も知識・ノウハウを教える(教わる)ことだけでは不十分で、「行
動、決断、考える」機会や場を与えることが重要です。その前提には、今の経
営者が本気で「次世代の経営人材を育成する」という決断、リスクを負って任
せるという決断も必要です。もっと言えば、本当に「次世代の経営者」が必要
かどうかを考える、決断する必要もあるのではないでしょうか?


             (2004/03/29 人材開発メールニュース第279号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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