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ミスを避ける新入社員
 先日厚生労働省より『若年者の就職能力に関する実態調査』結果が発表され
ました。若年者の採用に当たり重視する能力について調査したもので、企業が
採用時に重視する能力は上位4つの能力「コミュニケーション能力」「基礎学
力」「責任感」「積極性・外向性」は学歴に関係無く順位が共通しています。
採用時に重視している能力は、企業側から考えれば、採用した(する)新人に
対して、期待する(現状不足している)能力であるとも言えます。

 今に始まったことではありませんが、最近、若年者の「コミュニケーション
能力」が不足しているという話を聞きます。しかし、その一方で最近の新入社
員は、厳しい就職環境を乗り越えて入社しているだけに、業務に関する飲み込
みも早く、非常に要領も言いという評判も聞きます。ある意味、コミュニケー
ション能力も優れているように思えるが、実際には「コミュニケーション能力」
が不足しているという意見が圧倒的である。

 例えば、若い営業マンのセールスの場面でよく有りがちなのが、トーク自体
はスマートでありながら伝わってくるものが少ない感じることがあります。そ
の一つの理由として、話の進め方が自己中心になっていることが多いと言えま
す。具体的に言えば、彼らは、先輩や上司に教えられた通りに、スムーズにト
ークを行いますが、彼らが重視しているのはミス無く、トークを完結すること
であり、聞いている人がどうだと言うことに関してはあまり関心を示していな
いように思われます(勿論全てがそうではありませんが…)。一般的に言われ
るように、恥をかいたり、失敗することには非常に敏感であり、その結果、失
敗しないように自分の担当領域を勝手に決め、その中で教えられたことに関し
ては完璧に役割を演じている。またその一方でわからないことには敢えて飛び
込まない、避けると言う人材が多いようです。

 トークそのものはスマートでありながら、聞き手の印象に残らない、コミュ
ニケーションが不足していると言われる一因は、セールストークが自分のため
であり、顧客のためになっていないと考えられます。営業の場面(営業に限っ
たことではありませんが)では、「説得」するのではなく「納得」させること
が大事であると言われます。どれだけ話したかではなく、話を聞いた相手が理
解したかどうかが重要です。もっともっと色んな意味で他者への興味・関心を
持つことが期待されます。

 若年者の「コミュニケーション能力」が不足が指摘されてはいますが、企業・
組織を運営する上で大事なことは、悪いのは新人だけでなく、新人の能力を引
き出せない上司にあるとも言えます。特に管理者として一組織をまとめあげる
ことが期待される管理者は、新人をただ批判するだけでなく、自分自身の問題
として捉え、積極的に指導・理解していくことが望まれます。みなさんの周り
の新人はいかがですか?


             (2004/03/22 人材開発メールニュース第278号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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