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就職支援と何故働くのか?
 私は以前から、中高年齢者を対象とした就職支援のお手伝いをしております。
また最近では労働局・ハローワークの職員の方々を対象とした研修もお手伝い
しております。再就職に挑む方々、再就職を支援する現場の方々、どちらも日
々の苦闘されている様子が手にとるようにわかります。また私がお手伝いさせ
ていただいている以外にも、似たようなセミナーが様々なところで開催され、
中高年に限らず若年層を対象にした同様の取り組みも増えています。

 これだけ就職環境が厳しい状況でありながら、その一方で年代問わず入社し
てすぐ辞める人が増えているのも事実です。入社してすぐ辞めることが必ずし
も悪いとは思いませんが、入る(入れる)ことだけに注力していると、結局悪
循環に陥ってしまうような気がします。
 個人の側から考えれば、大事なことは就職することでなく、「入社した後、
自分の考えているような仕事や暮らしができるか」どうかだと思います。入社
後のイメージ、言い換えれば自分のライフキャリアのイメージをできるだけ具
体的に描くことが大切です。
 また企業側から考えると、採用して定着・活躍いただくことで企業も個人も
成長できる実感(=成功体験)が無ければ、さらに採用しようという意欲は沸
いてきません。

 その一方、今現在いろんなところで実施されている就職支援は、職務経歴書
の書き方や面接の対応策など、入社するためのスキル?を磨くものがまだまだ
多いようです。また書店に行けば同様に、就職・転職のためのノウハウ本がた
くさん並んでいます。就職のためには勿論このようなことを勉強することも大
切だと思われますが、このノウハウを使えるのは、求人が存在することが前提
になります。

 簡単に求人が見つけにくい時代においては、どのように就職の機会(求人)
を見出すか、現在の雇用・労働・社会環境の中で、自分の能力を発揮する場を
いかにして探索、発見していくかという発想が必要です。中高年齢者に限った
ことでなく働く個人は、企業経営と同様に環境変化にいかに適応していくかが
重要なポイントになります。就職するためのノウハウではなく、「なぜ働くの
か」をもっともっと大事に考える必要があるのではないでしょうか?


             (2004/03/08 人材開発メールニュース第276号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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