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人材のプロから組織のプロへ
 4月になりました。新入社員の方々の受入、また来期の採用など、人材開発担当部
門の方々にとっては、忙しい時期かと思われます。最近企業の人材開発担当者の方々
から相談いただく内容が変わってきたという印象があります。以前は主に研修など育
成プログラムに関する内容が圧倒的に多かったのですが、最近は組織改革、制度改革
など個別のプログラムだけでなく、経営とリンクした人材開発システムに関する相談
が増えてきたように思われます。

 このメールマガジンでも毎週「人材開発News」ということで、ネット上に公開
された人材開発に関するトピックスなどを紹介しておりますが、以前と比べると企業
のホームページで組織変更、人事制度の変更、評価制度の変更など人事・組織に関す
るプレスリリースが非常多くなっています。以前はプレスリリースと言えば、新商品
(製品)開発や新しい事業などに関するものが中心でしたが、最近では、人事・組織
に関するプレスリリースが本当に増えてきました。このような取組みは大企業中心で
はありますが、このメルマガをスタートした時期と比べると本当に変わったという印
象を受けます。
 今年に入ってからは特に、商法改正に伴った「委員会等設置会社」の設立に関する
プレスリリースが増えています。企業の社会的責任、倫理感、コーポレートガバナン
スなど、社会的要請に対応する動きの現れだと言えます。

 人事制度・評価制度・研修制度など「人事・組織に関するシステム」は、各々企業
の財産、価値であると考えられます。環境変化に対応しながら企業活動を行っていく
ために、どのようなシステムを採用しているか、外部(また社内)から厳しい目で評
価されています。「人事・組織に関するシステム」そのものが企業の財産また価値と
して評価される時代になっていると言えます。

 開かれた経営が要求される時代─「人事・組織に関するシステム」も情報公開が要
求され、市場から判断される時代になっています。その中で人材開発担当部門(担当
者)には、今まで以上に「人」という観点だけではなく「組織・企業」という観点が
必要になっています。
 これまでは採用・育成・活用・評価など、いわゆる人材開発プロセスにおいて「人」
に視点を置き、どのようにするかを考える動きが中心でした。例えば、どんな「人」
を採用・育成するか、「人」をどのように活用・評価するか─という考え方が中心だ
ったと言えます。
 「人」にきめ細かく個別対応の必要性が変わるわけではありませんが、より組織や
会社=経営の視点で考える─どんな「会社」でありたいか、どんな「組織」が必要か、
そのために「人材」に関するシステムをどのように組み立てるか─という発想と行動
が必要になっています。

 「人材」に関する専門家から「人材+組織」に関する専門家への転換、経営の戦略
的スタッフとしての人材開発部門(担当者)としての期待が高まっている現れだと言
えます。皆さんの会社ではいかがですか?


             (2003/04/07 人材開発メールニュース第231号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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