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制度の見直し−その前に
 最近私の周りでは、個別の研修プログラムよりも、制度に関する相談を受ける機
会が増えています。人事制度、教育制度、評価制度など様々なシステムの見直し進
めている企業がたくさんあります。
 更に最近の傾向では、制度の導入から見直しまでのスパンが以前に比べると非常
に短くなっていると言う印象を受けます。

 当然制度の見直しを考えている企業、組織では現在の制度(システム)に関して
充分に機能していないという不満を持っていると言えます。
 しかし、制度見直しの話題をお聞きする場合、少し細かく見ていくと2つの原因
が考えられます。一つは制度そのものが不備の場合、もう一つは運用が不足してい
る場合の二つです。

 新たな制度を導入する場合、以前にも増して経営サイドから厳しい目にさらされ
た状態で制度作りが行われています。当然制度作りを行う担当者も色々と勉強した
上で導入しているとは思われますが、その反面制度導入のスピードアップが要求さ
れ、結果カットオーバーする日程が予め設定され、制度の内容を充分に吟味するこ
とよりも、カットオーバーに間に合わせるために制度作りを行っている話を聞くこ
とも珍しくありません。

 当たり前ですが、納期に追われた制度についてはカットオーバーできた場合でも、
制度作りを担当した担当者は内容そのものに不安を感じているケースが多いようで
す。そのために運用段階においても、自信を持って周りに積極的に運用方法を説い
ていくような行動が少なくなっています。制度そのものにも不安を感じ、さらに運
用も消極的であれば、当然機能しないのは目に見えています。制度作りの担当者が
自己満足するのも疑問ですが、自信を持って自らの言葉で語れないような制度であ
れば、上手く行くはずがありません。

 制度(システム)作り、特にヒューマン・リソースに関する制度作りにおいては、
「こうしたい」という何らかの意志、思想、精神を形に変えていく作業であると言
えます。ただし、できあがったものは完全体ではなく、それを利用する全ての人々
に意志、思想、精神が共有されていなければ当初の目的通りに動くことはありませ
ん。制度を導入する前の「意志、思想、精神」の確認、導入後の「意志、思想、精
神」の確認という二つの確認を徹底することで、より効率的な制度運営が実現でき
ると言えます。


             (2003/02/24 人材開発メールニュース第225号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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