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eラーニング元年?
 このワンポイントアドバイスも今年最後となりました。
21世紀のスタートとなった今年、読者の皆様にはどんな年だったでしょうか?。

 今年一年を振り返ってみますと、人材開発のいたるところで「eラーニング
元年」という言葉を聞くことが多い一年でした。たしかに21世紀に突入すると
ともに、ブロードバンドネットワークが急速に進展するなど、通信インフラの
整備とともに、「eラーニング」を利用する企業も急激に増えたように思えま
す。
 首都圏では昨年あたりから導入する企業がかなり増えてきた感じがしますが、
特に私のように地方に住んでいますと、地方圏では今年から導入する企業が増
えてきたように思われます。
2〜3年前であれば、「eラーニング」(実際様々な言葉で言われていました
が…)という言葉も確立されていませんでした。「eラーニングとは何か?」
という説明も必要な場合も多かったのですが、今年は人材開発の現場において
「eラーニング」という言葉が共通言語として頻繁に使われ始めたような気が
します。その意味ではまさしく「eラーニング元年」であったように思えます。

 特にコンテンツの開発はこの一年で非常に進んだと思われます。
以前は、eラーニングのコンテンツもパソコンを中心とした情報技術関連のも
のが主流でしたが、最近では、業務知識、商品知識など知識教育の底上げを図
るリテラシー教育に関する裾野が大きく広がり、業種、業界を問わないコンテ
ンツの開発は進み、様々なコンテンツ開発がさらに利用者の拡大につながって
います。受講者個人レベルで考えますと、eラーニングに接する機会が増え、
身近なものになってきたと言えます。
 eラーニングは、「いつでも、どこでも」必要に応じて学習することが可能
であると言う受講者のメリットと同様に、教育担当部門にも大きなメリットが
あると言われております。受講者の進捗管理や、受講履歴管理が容易になり、
個々の進捗状況に応じたアドバイスができるなど、いわゆる「管理画面」を活
用した受講者のマネジメントができるというメリットです。

 しかし、企業、組織としての人材開発という視点から考えますと、eラーニ
ングは、まだ活用されるというレベルには至って無いように思われます。
教育担当部門そのものがeラーニングを実施するために必要な情報知識や情報
スキルが不足している場合もあるようです。eラーニングを運用するための知
識・スキル不足が原因で、導入したものの運用面で、例えばトラブルが発生し
た時の対処など、かなり苦労されている話もよく聞きます。

 先日あるeラーニングサービスを提供する教育機関の方とお話をする機会が
ありました。「eラーニングへの関心が高まり、導入企業は確実に増えている
が、導入企業のeラーニングに対する理解度によって、導入後のサポートも全
く違う。サポートにかかる人員や時間を考えると、実際は採算ベースを割るこ
とも多い」、「本来は企業に自主的に運用してもらうために、サポートがあま
り必要無い、手離れがいい商品(サービス)と思っていたが、実際は全く違う」
と言われてました。
特に地方では(地方の皆様ごめんなさい)、「コンテンツを制作する側(=教
育機関)とコンテンツを利用する側(=企業の教育担当部門)で言葉の意味が
違うことが多く、最近は導入したいという依頼がきても慎重に進めなければ、
大変なことになる」とも言われていました。

 eラーニングは、勿論企業内教育に限ったことではありませんが、今後ます
ます様々な場面で活用されることが予測されますし、それだけの可能性を持っ
たものだと思われます。eラーニングにおいては導入だけでなく、どう運用す
るかが人材開発の大きな課題であるのは間違いありません。。併せて、これか
らの人材開発部門、人材開発担当者に必要な役割、知識、スキルが大きく変わ
りつつあることも意味していると思います。

 コンテンツが拡大した今年は、受講者個人レベルでの「eラーニング元年」
であった言えます。そして、来年は人材開発レベルでの「eラーニング元年」
であって欲しいと思います。

 来年も引き続き人材開発に関する様々な情報提供を目指していきたいと考え
ております。
 それでは、皆様良いお年を!


             (2001/12/24 人材開発メールニュース第168号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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